レベル3自動運転に必要な技術的水準
レベル3で認定される自動車には、どんな先進技術が搭載されるのか。まずは、「ダイナミックマップ」と呼ばれる高精度の3次元地図が必要となる。衛星利用測位システム(GPS)などの技術はトンネルや山岳路では使えなくなるので、車両のセンサーと高精度地図が不可欠なのだ。
また、自動運転が可能な運行設計領域から外れたとき、システムはドライバーにすみやかに運転を引き継ぐよう求めるが、運転の交代が行われないときには「ミニマム・リスク・マニューバー(最低限の安全性)」機能によって、車両は10秒後に自動的かつ安全に停止する。
システムの冗長性の確保も重要な課題だ。例えば自動でハンドル操作が行われているときに電源が喪失し、システムの機能が停止するようなことはあってはならない。電源や各種センサーを二重化するなどの安全設計が必要だ。加えて、いつでも運転の引き継ぎができる状態かどうか、ドライバーをモニターするシステムも不可欠となる。
ユーザーにとっての具体的メリット
最後に、レベル3の自動運転にはどんなメリットがあるのかを考えてみたい。
今回型式認定を受けたホンダのレジェンドの場合、高速道路での渋滞時の追突リスクが大幅に軽減されるだろう。常に最適の車間距離を保ちつつ、最適のタイミングで自動的に加減速することで、渋滞の緩和にも貢献できそうだ。当然、ドライバーの疲労も低減でき、自動運転中はスマートフォンや車載TVなどを使用することも可能になる。
たったそれだけのメリットなのかとも思われそうだが、レベル3の運行設計領域を外れたときには、自動的に高度なレベル2の、前車追随や車線維持、自動ブレーキなどの運転支援機能が利用できる。高精度地図を使った運転支援は使い勝手がよいだろう。個人的には長距離トラックにレベル3を装備すれば、運転手さんには非常に喜んでいただけるのではないだろうかと考える。
レベル3システム搭載のレジェンドは11月11日に形式認定されたが、ホンダとしては正式な製品発表ではないため、詳細は未発表だ。しかし認定した国土交通省としては、法改正やWP29での議論で世界をリードしてきたこともあり、「世界初の認定」として積極的に情報を公開している。