自分が事業内容をよく知っていて、「ここのサービスはいいな」「ここの商品はいいな」と思う会社や、自分が働く会社の関連業界のなかで将来性があると思う会社の株を買うこともいいと思います。日々の暮らしのなかで、必ずいろいろな上場企業とお付き合いがあるはず。ゲーム好きなら任天堂、優待狙いで購入されるオリエンタルランドなどは、消費者視点で「好きだから」と保有する人が多い銘柄です。

最後にニューノーマル時代に成長しそうな中小型株にも注目です。コロナの恩恵を受けて成長する「順張り銘柄」では、日本人の医療データを持つメディカル・データ・ビジョン、セキュリティ関連のデジタルアーツなどが挙げられます。コロナ後に回復していくであろう「逆張り銘柄」では、日本金属、NKKスイッチズ、ペガサスミシン製造といった、技術力を持った日本のメーカーに期待しています。

現金の価値は下がる、長期の運用で備えよ

ここまでの話を踏まえると、老後資金の運用にも日本株がおすすめです。これまでのデフレの状況では、「キャッシュ・イズ・キング」で現預金を持っていればよかったんですが、今はお金が刷られすぎていて、これからは世界的な資産インフレが起きることが予想されます。現金の価値が目減りしていく時代に入るのなら、資産を現金で持っていてはダメ。やっぱり株で運用するしかないと思いますよ。

発売後、すぐに重版がかかったユルマズ氏の『コロナ後の世界経済』(集英社)でも、お薦め銘柄を紹介している。

日経225やTOPIXのインデックスファンド、あるいはETF(上場投資信託)でもいいですが、できれば個別株投資を検討してみてください。自分がよく知っていて評価できる会社の株を買っておくだけでいいんです。短期的に一獲千金を狙う人は99%失敗しますが、今の仕事は続けて老後のためにちょっとバッファが欲しいという気持ちで余裕を持ってやれば、失敗は少ないと思います。

お金っていうのはネコみたいなものなんですよ。追いかければ逃げる。じっとすると向こうから寄ってくるから、余裕を持って、ちょっとじっとする時間を取りながら運用しましょう。少なくとも2~3年は持つつもりで買って、今すぐ上がらなくてもいいという感覚で持ち続ける。ポイントは、株価の上下で一喜一憂しないこと。特に株価が下がったときは、上がったときよりもエモーショナルインパクトが強いので、疲れてしまいます。

日本株の上昇トレンドに乗って長期運用すれば、それなりのお金になっていると思います。

(構成=生島典子 撮影=金城匡宗 図版作成=大橋昭一 写真=読売新聞/AFLO、AFLO)
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