日本の食材、豆腐やおから、がんもどきが羨ましい

しかし、環境への負荷の低さはほぼ同じなのに、豆乳やアーモンドミルクではなくオーツミルクの人気が拡大しているのはなぜか。味もあるだろうが、温室効果ガスを二酸化炭素の排出量に換算した「カーボンフットプリント」の数値をパッケージに記載し、環境への配慮を前面に押し出したOatlyという会社のマーケティングの成果も高い。

アメリカでは今年3月のオーツミルクの販売数が前年比の470%、代替肉に関しては280%を記録した。この菜食主義への人々の移行は先進国を中心に急激に進んでおり、世界中に広がるのも時間の問題だろう。

日本人はおいしいものが大好きだ。食への探究心が強く、世界中の料理が比較的安く高いクオリティーで食べられる東京という街の魅力はすごい。しかし自分が食べているものは一体何なのか、その食材にはどのような背景があるのか、たまに立ち止まって考えてみてはいかがだろう。牛丼は確かに安いしおいしいが、たまには豚丼でも良いんじゃないだろうか。牛乳を習慣で毎日飲んでいるが、これをためしに豆乳に変えてみるのはどうだろう。

日本は代替肉が浸透していない一方で、豆腐やおから、がんもどきなどの大豆ベースの食材が昔から豊富にある。寒い冬の湯豆腐は最高だが、湯豆腐と熱燗の組み合わせも立派なヴィーガン食だ。絹豆腐が1パック400円もするオランダにいると、そんな夕飯はうらやましくて仕方がない。

オランダからチーズが失くなる日が来るか

では、オーツミルクの台頭でオランダからチーズが消えるのだろうか。消費量は減る傾向にあるかもしれないが、完全になくなることはおそらくないだろうと私は思う。ベジタリアンのオランダ人の間でも「肉や卵は食べなくてもいけるけど、チーズだけは絶対無理だ」という人がかなり多い。

最近アムステルダムでも初のヴィーガンチーズ屋ができ、筆者も試しにひとつ買ってみたが、正直チーズとは似ても似つかない全くの別物だった。チーズの消費を少し減らしつつ、同時にヴィーガンチーズを気分転換にたまに買おう、という緩いスタンスで十分なのだ。

筆者撮影

人口の約4割がベジタリアンのインドでは、食を楽しむためにスパイスという文化が発達した。何かを我慢するのではなく、できる範囲で無理なく楽しんで行動することが大事なのだ。オランダで急速に進むサステナブルな暮らしに大いに影響されたわが家は、気づけば一日一食はヴィーガンになっている。はじめてトライしたヴィーガンクロワッサンは予想外においしく、肉を使わないカレーは調理や片付けが楽でありがたい。

新しい服を買う際はごく自然にサステナブルブランドから選ぶようになり、正直何も意識していなかった頃よりも毎日いい気持ちで過ごせている。自分がどこにお金を使うかを考えるのはとても大切だ。ストレスフリーなことはもちろん、「あぁ良いことをしたなぁ」という自己満足こそが、サステナブルな生き方を支える大きな力だと筆者は思う。

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