「異常」から「あたりまえ」へ、認識を新たに

後はどう売るかが問題だった。

製品が良くなっているのに売上が数%増にとどまっている原因は、認知不足だ。ライダーや妊婦さんや登山家が発見してくれたワークマン製品のよさを多くの人に伝えていくにはどうしたらいいか。

土屋哲雄『ワークマン式「しない経営」 4000億円の空白市場を切り拓いた秘密』(ダイヤモンド社)

そのためには意識を変える必要があった。自分たちの高機能製品が一般のお客様に売れるのは「異常」ではない。「あたりまえ」なのだ。そう認識を新たにした。

その「あたりまえ」を広めるために新業態を立ち上げることにした。

ワークマンプラス第1号店の店内は既存のワークマンのイメージと異なり、一般のお客様を意識し、おしゃれなアウトドアショップのようにした。マネキンとスポットライトを多用し、製品陳列を見やすくしたので、ほしいものがすぐ見つけられる。ワークマン自体を知らない人は、作業着をメインに扱っている会社だとは気がつかないだろう。

ショッピングモールへの出店は多大なコストがかかるが、広告塔としての役割を果たすと思い決断した。

おしゃれな店舗は女性客の伸びにつながった。一般のロードサイド店の女性比率は2~3割にもかかわらず、ショッピングモール店では約5割にも達した。

年齢的にも若返りができた。かつてのワークマンのお客様の大多数は中高年者であった。ワークマンプラスのショッピングモール店では、40歳以下のお客様比率が休日は4割を超えている。

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