朝日社説こそ抽象的な言葉よりも具体策を示してみてはどうか

「司法判断までの時間は、残りわずかといわれる。両政府はこれ以上、関係をこじらせないよう、危機感をもって協議を加速させねばならない」

徴用工問題についてこう主張するのは、11月4日付の朝日新聞の社説だ。見出しは「徴用工問題 協議加速し危機回避を」である。

朝日社説は指摘する。

「韓国側では、文在寅大統領がかねて『被害者中心主義』を唱え、元徴用工らの救済に比重を置いてきた。かたや日本側は、被告企業に損害を生じさせないことを最重視している」
「双方が優先する点を尊重しつつ落着点を探る、外交の知恵が問われている。文政権はこれまでの硬い姿勢を改め、双方が受け入れられる具体策を速やかに示す必要がある」

文在寅政権に対し、柔軟な対応と具体策を求めるのはいいが、朝日社説は「落着点」や「外交の知恵」などと抽象的な言葉を並べるだけだ。朝日社説こそ、具体策を速やかに示してみてはどうか。日韓両国が膝を打って納得するような具体策ならば、朝日社説を嫌う菅首相もきっと喜ぶに違いない。

日本の輸出規制の強化は日韓の経済活動を妨げる悪手なのか

朝日社説はさらに指摘する。

「この問題をめぐっては先日、局長級の会合が開かれた。進展は伝えられていないが、対話を深めることが欠かせない」
「日本側は昨年、韓国に行動を迫ろうと、輸出規制の強化に踏み切った。だが、これは双方の経済活動を妨げる悪手だった。韓国側はいまや貿易制度の改善も施した。輸出のルールは以前の状態に戻すべきだ」

今度は「日本の政策が悪手」だから「ルールをもとに戻せ」と韓国に味方する。朝日社説の好きな喧嘩両成敗である。バランスを取ったつもりなのだろうが、これではスタンスもあったものではない。

悪いのは韓国の文政権であり、その元凶は文在寅という大統領なのである。徴用工の問題において日本の主張は、決して間違ってはいない。