『宇宙兄弟』を通じて、自分の強みを探す

続いて、4位以下から、注目の書籍をご紹介します。

古野俊幸『あなたの知らない あなたの強み』(日経BP)

第5位は、『あなたの知らない あなたの強み』。本書は、FFS(Five Factors&Stress)診断と人気コミック『宇宙兄弟』を組み合わせてつくられた、ユニークな一冊です。

FFS(Five Factors&Stress)理論とは、小林惠智博士によって開発された理論で、凝縮性、受容性、弁別性、拡散性、保全性という5つの「因子」の組み合わせで人の思考行動パターンを解説し、自己理解・他者理解・組織理解を促進しようとするもの。本書では、『宇宙兄弟』のキャラクターや名場面を引き合いに出しながら、FFS理論や、FFS理論を用いたチームづくりのポイントが解説されています。

例えば主人公、ムッタは、日本人の多くがそうであるように「保全性」が高く、仕事では周囲との関係を大事にしつつ、継続的に工夫改善を行うことに向いているタイプ。「拡散性」の高い上司(教官)デニール・ヤングに苦労しますが、破天荒な指導によってこそ「保全・部下」は一皮むけるもの。「拡散・上司」が苦手な細かな詰めや日常的な運用をフォローすればチームはうまくいく、といった具合です。

キャラクターの個性やその組み合わせを通してFFS理論を見れば、各因子の特徴をより深く理解することができるでしょう。作品を知らない人にもわかりやすいように作られているので、どんな人でも楽しく理論を学べるはずです。

「敏感な人」が鈍感な世界を生き抜く方法

続いて、第11位『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』にもご注目ください。近年、「HSP」(Highly Sensitive Person:とても敏感な人)という言葉がよく聞かれるようになりましたが、2016年に邦訳版が出版された本書は、その「元祖」ともいえる一冊です。

イルセ・サン『あなたの知らない あなたの強み』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

本書では、自身もHSPであるという著者が、HSPをよく理解し、その性質を生かすためのヒントを紹介します。HSPの自覚がある人なら、本書に書かれているHSPの特徴に「あるある!」と共感したり、「自分が抱えやすい問題には、このような傾向があったのか」と腑に落ちたり、本書で指南される“HSPの自分とうまく付き合う方法”に救われたりするのではないでしょうか。「鈍感な世界」を生き抜くことにくたくたになっている方にとって、バイブルのような存在になってくれるはずです。

もちろん本書は、HSPだけのものではありません。HSPではない人がHSPを理解する助けにもなってくれます。自分を知り、相手を知って、互いに思いやることができればもっとコミュニケーションはスムーズなものになるでしょう。