中国ベンチャーは手を組むのに最適な相手だ

中国ベンチャーたちは、コロナ禍を、デジタル・イノベーションを進展させるチャンスに変えている。屋内外の配送・消毒作業にはドローンや無人運転車が活用され、AIを用いた医療画像診断やチャットボット(自動応答システム)の利用が進み、遠隔の医療・勤務・学習が当たり前になるなど、得意のデジタル分野の強さをさらに際立たせていっている。

そして、中国政府の進める「新インフラ整備」の政策で、5GやAIなどのデジタル・インフラ産業が新たな重点領域に指定されたことによって、中国のデジタル分野はますます世界をリードしていくだろう。

日本の得意分野を、中国は苦手にしている。中国の得意分野を、日本は苦手にしている。これほど手を組むのに適したパートナーは他にいないといっても過言ではない。そして2020年は、日本が得意分野の強みを発揮できて、中国の得意分野はさらに進化していく、連携にちょうどいいタイミングでもある。日本企業はいますぐ中国ベンチャーを学び、深く理解し、利用し合える関係になるべきである。

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「人にだまされるな」と教える中国、「人に迷惑をかけるな」の日本

中国ベンチャーを学ぶときには、表面のビジネス・戦略の分析だけでなく、そのビジネス・戦略に取り組む組織と人まで深く分析してこそ、真の理解ができるようになる。戦略は、戦略を実行できる組織と人がいて初めて十分な効果を発揮するものであるからだ。

日本人は、中国ベンチャーの組織と人の特徴について、ライバルとしても、パートナーとしても、よく知っておくべきである。日本と中国は、地理的に近く、文化的に通じる部分があるが、ビジネスにおける考え方や戦略は真逆といっていいほどかけ離れている点に注意しなければならない。

【日本と中国は正反対】その2:教え

例えば、教えについて、日本と中国は正反対だ。親が子に、目上の者が下に教える根本的な価値観として、日本では「人に迷惑をかけるな」と教えられる。「他人様に迷惑をかけないように」「言われたとおりに」「ルール通りに」「ちゃんとしなさい」。自分の好きな方法よりも、他者・周り・環境にフィットできる方法が重要視されやすい。

一方、中国では「人にだまされるな」と教えられる。「本当にそうだろうか」「もっとうまい方法があるのではないか」「他人はそう言うけれど、自分はこう考える」。他者の言うことを鵜呑みにするのは危険で、自分・身内の適切な判断が重要視されやすい。