日本の子どもの貧困率は13.5%に上り、OECD平均12.8%を上回っている。日本はいつから「子どもの貧困大国」になってしまったのか、そしてそれはなぜなのか、子どもの貧困に詳しい東京都立大学の阿部彩教授にお話をうかがった。
かわいい女の子が車の窓から外を見ている
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Sasiistock)

「子どもの貧困」は改善されているのか?

7月に厚生労働省が発表したデータによると、2018年の子ども(17歳以下)の貧困率は13.5%と、2015年の前回調査から0.4ポイント改善しました。日本の子どもの貧困率は、2012年が過去最悪の16.3%で、その次の調査の2015年から今回発表された2018年度の調査までほぼ横ばいでした。

この数値だけを見ると、子どもの貧困は改善されているように取れますが、心配な面もあります。

前回もお話しした通り、子どもの貧困率は「相対的貧困」を表しています。これは、中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす子どもたちのことで、最新のデータ(2018年)だと、4人世帯では年収253万円以下の家庭が対象。つまり、親の勤労収入に影響を受けるのです。2018年、2019年は人手不足で最低賃金も上がり、比較的景気がよい時期でした。

日本の子どもの貧困率

厚生労働省「2019年国民生活基礎調査」より

この時期、母親の就労率も上昇し、2015年から2018年にかけて、子どもがいる世帯だけを見ると、平均所得金額はかなり上がりました。しかし、貧困率はそれほど変わっていません。つまり、好景気の恩恵が、一番下の層の世帯にまでは到達してなかったという現実があるようです。これは日本だけでなく、他の先進諸国においても言われていることです。