短時間で意見を整理できる「KJ法」

私がよく使うビジネスフレームワークである「KJ法」は、整理することに長けた手法です。地理学者である川喜田二郎氏が編み出した優秀な整理術で、いきなりみんなで意見を言い合うのではなく、まずはみんなで意見を出し合う。この状態なら、100%全員が自分の意見を伝えることができます。

さらにこのKJ法は、全員の意見を短時間で集めるだけでなく、短時間で整理・集約することができます。会議の基本である参加者の意見を集め、整理する。この2ステップを短時間で誰でも簡単にできる手法なのです。

KJ法はちょっとしたコツと手順を押さえれば簡単にできます。この手順に従ってファシリテーターが進行することでKJ法は威力を発揮します。逆に言うと、手順を理解していないと時間ばかりかかってしまい、実務では使えない……となってしまいます。まず、KJ法でまとめる表のイメージを確認します。

<手順1 模造紙に問いを記入する>

KJ法は模造紙と付箋を使っていきます。模造紙の一番上に「問い」を書きます。これにより「問い」を「見える化」できるので、参加者は何を質問されているのかを確認、認識することができます。

<手順2 参加者に付箋への記入をお願いする。時間は3分>

次に、参加者に「問い」に対する意見を付箋に記入してもらいます。付箋に書くときには、ルールがあります。

・1枚1ネタ(要素)

1枚に複数の意見を書くとカテゴライズできなくなるので、必ず1枚1ネタを厳守します。いくつも意見がある場合は複数枚の付箋を使って書くようにお願いします。

・サインペンを使う(シャープペンシル、ボールペン禁止)

サインペンでないと見にくい。見えにくい意見の書かれた付箋が何枚、何十枚もあると、けっこうなストレスになります。模造紙に貼り、みんなが一目で分かるようにサインペンは必須なのです。ちなみに、付箋は下から上に向けてはがすとノリ部分が丸まってしまう性質を持っているため、横にはがしましょう。

付箋に書いてもらう前に、書き方の例を2~3伝えると、よりスムーズに進みます。

付箋を模造紙に貼りながら整理していく

<手順3 付箋を回収し、整理する>

付箋に書き込んでもらったら、回収し、模造紙に貼りながら整理していきます。手順は、次の通りです。

1 一番近くにいる人に、「なんでもいいので1枚ください」と言って付箋を受け取る。
2 その人が書いてくれた意見を読みながら、模造紙の左端に貼る。
3 「似たような意見を持っている人ください」と声をかけ、付箋をもらう。
4 似た意見の付箋を回収したら、2で貼った付箋の下に順番に貼っていきカテゴライズする。

ここで縦1列が完成します。その縦1列は、似たような意見が集まった列ですから、おのずと1つのカテゴリが完成した、と言えます。2列目も同様の手順で進めていきます。これを、全員の付箋がなくなるまで繰り返していきます。

すべての付箋を貼り終えたときには、いくつものカテゴリができているはずです。その数は、7~10を目安にしてください。

また、もし、単独の意見が出て、他に類似の意見もないような場合は、「その他」のコーナーへと、いったんまとめておきます。