まずは、金融危機の震源地となったアメリカだが、余震はまだ続いている。

例えばバンク・オブ・アメリカは、リーマン破綻直後に経営危機に陥ったメリルリンチ証券を買収し、その後、2兆2500億円(当時の通貨レート換算)の資本注入を受けている。しかし、以後も損失が拡大し、先ごろアメリカ政府は、同行に1兆8000億円相当の資本を再注入すると発表した。また、同行が保有する総額10兆6000億円相当の不良資産から損失が発生した場合、その大半を政府が肩代わりすることになった。

5四半期連続の最終赤字で、財務内容が急速に悪化していたシティグループに至っては、政府から損失保証や資本注入を受けたにもかかわらず、「総合金融」の金看板をはずし、スリム化して生き残りを目指す状況に追い込まれている。

アメリカの大手金融機関の経営状況は、まさに崖っぷちにあり、政府による資本注入や保証、買い取り機構の設立など、やれるものはすべてやらなければ転落してしまうギリギリのところにきている。

大揺れの余震がまだ収まらないが、幸いなことに当社が提供しているいくつかの指標からは、どうやら最悪期は脱したのではないかと見ることができる。

グラフを拡大
アメリカでは昨年11月に底を打った

その一つとして「ABX指数」をお見せしたい(図参照)。グラフは「ABXHE‐07‐2」で、トリプルA(最上級格付け)を取得して発行されたサブプライムローン担保証券の指数である。指数の低下はリスクの高まりを、上昇はリスクの後退を意味している。

最近のABX指数の動きを見ると、昨年12月後半から上昇傾向にある。その他の指数についても、持ち直してきている。少なくとも今回の震源地となった金融商品については、底を打った可能性がある。つまり、リーマンの破綻に類似したサプライズが、アメリカの金融機関で起こる可能性は少ないということだ。

このことはアメリカ政府やFRBによる金融危機対応策が、一応機能し始めていると評価できる。ただし、不確定要素もある。例えば、GMやクライスラーなど、経営危機に陥った事業会社に対する支援が、まだ不透明だということだ。これが決まってくれば、金融市場の安定レベルはより高まるはずだ。