「目の前の問題は解きたくなる」習性がある

——小さい頃はどんなお子さんでしたか?

【母】小さい頃から気になったことはとことん調べずにはいられないところがあったよね。目の前に問題があったら、どんどん解きたいタイプで、小学校に入学したときにもらってきた教科書を全部解こうとしたことがあったよね。

【彩瑛】授業までに全部解かないといけないのかと落ち着かなくて(笑)。

【母】私も好奇心が強いので、そういうところは似たのかなぁ。彩瑛が小さい頃から、子育てにおいてこういうことを教えたらどういう結果になるんだろうと、知りたい一心で……(笑)。生後6カ月から教え始めたのはパズル。お座りができれば手が自由に使えるから、4ピースの木製パズルをあと一つはめれば完成という状態で渡してみた。最初はなめたりするだけだったけれど、お手本を示すうちにはめられるようになって、結局、8カ月ぐらいで4ピースのパズルを1人で完成させられるようになったんです。子供って与えたらなんでもできるんだなと実感したのがこの時。

ピアノ、バレエ、ダンス……なんでも一生懸命に休まず励む

【彩瑛】英語も教えてくれていたんだよね?

【母】そうそう、日本で生まれたけれど、母親がずっと英語で話しかけていたら、初めての言葉はどっちをしゃべるのかが知りたくて。結局、英語がポッとでたので、母親がしゃべる言葉を習得するんだなぁとわかってびっくりした。母国語のことをmother tongue(=母親の舌)というのですが、語源に偽りなし、と感心した記憶があります。それから日本語と英語のミックスで話しかけていたけれど、幼稚園に入ってからは広島弁オンリー。当時、広島に住んでいたからね。

東京大学本郷キャンパスの赤門前にて(撮影=市来朋久)

【彩瑛】昔は英語をしゃべっていたんだね。

【母】中学で英語の授業が始まったとき、リスニングに抵抗がなかったのもその影響なのかなぁ。英語独特の周波数を聞き分けられる耳が育っていたんだと思いたい。

【彩瑛】算数に興味を持ったのは、お母さんが買ってくれた『数の悪魔』という本がきっかけかも。分厚い本だったけど、読んだら面白くて、何回も読み返していた。

【母】最初は小2くらいだったから絵だけ見て楽しんでいたけれど、だんだん読めるようになったね。そうだ、『プレジデントファミリー』に載っていて良さそうな本だなと思って買ったんですよ!

【彩瑛】思えば、算数グッズが身近にたくさんあったよね。100玉そろばんとか。

【母】私が意識的に買っていたのかなぁ。女の子はどうしても数学を苦手にすることが多いから、興味を持つようにと思って。1歳9カ月から6歳まで七田チャイルドアカデミーに通ったことも数学好きになったきっかけの一つかもね。

【彩瑛】習い事も結構していたよね。確かピアノは小1から小3まで通ってた。「来週はこれを弾くから練習してきてね」と先生に言われても、1週間練習はせずに温めておいて次のレッスンで初めて弾く(笑)。

【母】温まらんわ(笑)。

【彩瑛】クラシックバレエは小1から高校生まで通っていたんですよ。ダンスも好きで、発表会前はレッスンやダンスの部活で週6日くらい踊っていたこともあった。

【母】中高の定期テストの前もバレエやダンスのレッスンは休まなかったよね。「ママ、テストの前も休まないからね」って言って(笑)。

【彩瑛】休まなくて済むように、逆算して、テスト勉強をする計画を立てて、「ダンスに行く時間分はここで勉強するから、レッスンは休まない」って言って(笑)。