難題に立ち向かうために「より有効な官邸主導」が必要だ
「官邸が霞が関の人事を掌握」したことを批判するマスコミも多い。こうした批判の多くは、前世紀から「官邸主導」への転換が進められたこと、十年以上前に当時の民主党も合意して「内閣人事局」が設計されたことなど、前提知識を欠いてなされている。
国の枠組みを「平成」を通り越して「昭和」に戻すべきと言っているようなものだ。行政改革と規制改革の絡み合う経過は、拙著『岩盤規制』に記した。記者たちには少なくともここに書いた程度のことを知ったうえで記事・論説を書いてほしい。
今後、誰が首相になるにせよ、難題は山積だ。コロナ禍からの脱出、混迷する世界情勢への対応、積み残しの岩盤規制、デジタル変革への対応、労働市場改革、社会保障改革などなどだ。これらに取り組むために必要なことは、断じて「行き過ぎた官邸主導」の是正ではない。「より有効な官邸主導」が必要だ。
さらに、安倍政権での経験を踏まえれば、「マスコミ・国会改革」も課題だ。これについては高橋洋一氏との共著『国家の怠慢』で論じたので、ぜひ読んでいただけたら幸いだ。