非難することが自己目的化した「悪質な学者」
政治を非難することが自己目的化した悪質な学者も多く存在する。「適切に」政治を評価するのではなく、とにかく嫌いな相手に悪口を言うために、悪い数字を拾い上げる輩だ。
その代表格が、京都大学の藤井聡氏。彼は、僕や大阪維新の会の大阪府政・市政をとにかく非難することだけに自分の全人生をかけているような奴。
2018年3月、「大阪の域内総生産額(2015年度)が愛知のそれに抜かれて3位に転落‼」という報道が躍った。
すかさず、藤井氏は「橋下や大阪維新の会の政治行政の失敗‼」と叫び始めた。
ところが、この域内総生産額の計算方法がその年に変わっただけなのだ。それまでは研究開発費は総生産額に含めなかったのに、この年からこれも含めることになった。
そうすると、研究開発費に1兆円規模の資金を投じるトヨタ自動車を擁する愛知県は、域内総生産額が一気に上がった。つまり計算方法の変更によって愛知県が大阪府を抜いただけなのだ。
過去もこのように研究開発費を総生産額に加える方法で計算すると、実は僕が知事に就任する前の2007年にすでに愛知県が大阪府を抜いていたことになる。2015年になってから大阪経済の実体が3位に転落したわけではない。
(略)
そういえば藤井氏は、大阪府の府民所得が下がっていることも、僕や大阪維新の会の批判理由によく使う。
確かにそれは事実である。
しかし県(府)民所得は、「労働していない」高齢者や生活保護受給者も含めての平均額だ。高齢化が進む大都市で、しかもこれまでもずっと生活保護受給者が多かった大阪という街において府民所得が低くなってしまうのはある意味自然なことだ。
ここは数字の取り方次第であり、県民所得と同じような数字に「雇用者報酬」というものがある。これは「働いている者」の報酬額の平均だ。大阪は、この雇用者報酬については、東京に次いでの高さである。
「労働していない者」も含めての平均所得(府県民所得)と、「働いている者」の平均報酬(雇用者報酬)。どちらが経済指標として有効か。
僕は、当然、後者の雇用者報酬だと思う。経済が活性化しなければ雇用者の報酬は上がらないし、一番重要なのは、まさに働く者の報酬だ。働いていない人の所得は、経済活性化とは無関係の、富裕層の所得や福祉の話になる。
府県民所得の数字だけを持ち出す藤井氏には経済を語る資格はない。
(略)
(ここまでリード文を除き約2500字、メールマガジン全文は約8000字です)
※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.216(9月15日配信)の本論を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【提言!日本をよくする政治評価システム(2)】いよいよ菅政権スタート!悪質な学者に左右されない「2つのポイント」》特集です。