勉強とは集中力を高めるためにやるもの
親は家庭学習であれもれもと欲張らずに、算数・漢字・6年生の社会科を中心に、わが子がきちんと理解しているか確認し、できていないところがあれば繰り返し学習させる。
ただし、この学習のさせ方にもポイントがある。親は、子供が長く机に向かっていると安心しがちだが、「ダラダラと長く勉強させてはダメ」と陰山さんは言う。
「中高時代を思い出していただきたいのですが、成績トップの人って勉強時間があまり長くなかったのではないでしょうか? 成績優秀でスポーツもがんばっているようなタイプです。なぜ、彼らの勉強時間が短いかといえば、速いからです。なぜ速いかといえば、集中しているから。頭の良さとは集中力の高さと回転の速さで、極論をいえば、勉強するのは集中するためのトレーニングにほかなりません。だから、家庭学習は短時間集中でパッと終わらせて、あとは自由に遊んでいい時間というようにメリハリをつけることが大事なんです」
時間は一概には言えないが、宿題のプリント1枚をいつもダラダラと30分かけてやっているなら、集中して20分で終わらせるように働きかけてみる。必ず目標時間を設けて、15分、10分、5分と徐々に短くできるようにしていくといいという。
「速さは、集中のバロメーター。早く終わったら、褒めてあげましょう。間違っても、『早く終わったなら、このプリントもやりなさい』などと課題を増やしてはダメですよ」(陰山さん)
基礎問題で十分。応用、発展問題はやらせない
やらせる教材についても、注意が必要だ。
「教科書や学校で与えられたドリルなど、基礎的な内容のもので十分です。学校や塾では、基礎問題ができたら、応用問題、発展問題と難易度をどんどんあげていきます。これは、落ちこぼれを大量に生み出す教育方法です。なぜなら、この教育方法だと子供はいずれ必ず『できない』という壁にぶつかります。そして、自信を失ってしまう。このような教育をしているから、日本の子供の自己肯定感は低いのです」(陰山さん)
ドリルを選ぶ際は、基本問題の演習ができて、ページ数が少ない薄めのものにしよう。薄めがいい理由は、内容が絞り込まれていることと、すぐに終わるので繰り返し学習がしやすいという点にある。迷う人は、陰山さんが学年・強化ごとにやるべき単元を絞り込んだ「陰山メソッド たったこれだけプリント」シリーズ(小学館)がオススメだ。
発売中の『プレジデントFamily2020秋号』では、「これだけで大丈夫! 学年別 陰山式・厳選ドリル」で1~6年生までの算数問題を紹介している。子供の学年の問題をやらせてみて、わかっていなければ前の学年に戻るなど、“積み重ねの教科”である算数のつまずきポイントを確認するためにもご活用いただきたい。