抽象概念としての「女性」を忌み嫌っている
ツイッター上には、「ミソジニスト」と呼ばれる女性嫌悪に満ちた言動をするアカウントが山のように存在している。「フェミ」や「ツイフェミ」というキーワードで検索すると、そうしたアカウント群を大量に確認することができる。
多くはフォロワー数がゼロや一桁、あるいは数十~数百にすぎない泡沫の匿名アカウントだが、中には数千以上のフォロワーを持つアカウントもある。著名な女性活動家やフェミニストに対して執拗な批判や罵倒を繰り返すアカウントもあり、ツイッターの世界では一定の存在感を醸し出している。
女性嫌悪という言葉からは、過去の失恋体験によって女性を敬遠、あるいは逆恨みするようになった男性がイメージされるかもしれない。
しかし、彼らは自分の個人的な経験や女性から受けた具体的な被害に基づいて女性に対する怒りの声を上げている、というわけでは決してない。
彼らが蛇蝎のごとく忌み嫌っている「女性」は、顔の見えない抽象概念としての「女性」である。それゆえに、彼らと同じ文脈を共有していない第三者から見ると、彼らがなぜ・何に対して怒っているのか、理解することが難しい。
一方で、実体のない抽象概念に対する怒りであるがゆえに、膨張して歯止めが利かなくなる傾向がある。
ミソジニストたちが抱く「女が許せない」という怒りの燃料となっている信念、女性嫌悪を強化している思想の体系を、彼らがツイッター上で発信している主張から読み解いてみよう。
共通するのは「女性の既得権益が許せない」という怒り
ツイッター上でミソジニストたちが熱心に拡散させているツイートを分析すると、その背景には「女性の既得権益が許せない」という怒りがあることが見えてくる。
数百を超える大量の「いいね!」を集めているツイート、千を超えてRTされているツイートの内容には、「女性の既得権益が許せない」という怒りが必ず絡んでいる。
この怒りを因数分解すると、以下の6つの「許せない」に整理することができる。