中国の台頭を許さないという決意

「最大の原因は、米国と日本が中国を助けていたこと。天安門事件後、日本が世界に先駆けて中国への経済制裁を解除したのは、米国からの要請だったことを、先輩方と一緒に取材しました。今回は違う。米国が中国の台頭を許さないという決意を見せています」

福島香織『新型コロナ、香港、台湾、世界は習近平を許さない』(ワニブックス)

決定打は香港だったという。

「かねて、香港か台湾を契機に米国と中国の対立が先鋭化すると考えていました。先に香港がハジけましたが、次は米国と命運を共にする覚悟を決めた台湾。米国は、米中どちらにつくのかを各国に迫っています。中国とベッタリだった豪州も袂を分かつ決断を下し、中国からカネを貰っているような議員を暴き、法律も変えた。日本はまだ『両方とうまくやりたい』とか、『2国間を取り持つのが役目』などと立場を明確にしない」

間を取り持つつもりなら、それこそ立ち位置を明確にすべきだと福島氏は言う。

「どっちつかずのコウモリでは、調整なんて無理なんですよ。対立解消は、どちらかに『変わってもらう』ことが必須。であれば、日本は米国側について、中国に変わってもらうしかないでしょう」

日本の企業もそういう決断を下すときが来る、という。

「政府首脳の1人が、ある人に出した手紙の中で『安倍政権は、米国と価値観を共にして、同じ道を歩んでいくことをすでに決めている』と記しています」――多くの日本人もそう欲しているだろう。

福島香織
ジャーナリスト
文筆家。1967年、奈良市生まれ。大阪大学文学部卒業。91年産経新聞入社。香港支局長、中国総局駐在記者などを経て2009年退社しフリーに。著書多数。
(撮影=永井 浩)
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