それと前後して、米国農務省(USDA)の国際動植物検疫課(APHIS)は、「農務省が求められざる中国からの種子のパッケージに関する調査」と題するサイトを設置。国民向けに告知を進めている。注目点は「中国から」と言い切っているところだが、ともあれ、これまでにAPHISが把握している状況をまとめると次のようになる。

「謎の種子」に関する米農務省発表
・ウェブで「中国から来ているであろう疑わしい種の入った郵便物」と記載
・全米50州をはじめ、英国、オーストラリアに届く
・アメリカ到着分の種は、これまでに「植物14種」と確認
・検査の結果、「人体に直接影響する可能性は低い」と説明
・APHISが回収を実施。22州からサンプルを受け取り

中身はキャベツ、アサガオ、いろいろなハーブ…

アメリカでも植物や種子の持ち込みは「農務省の動植物検疫所が管轄する植物保護検疫プログラムによって厳しく規制されている(CNNの同記事)」。そうした背景もあり、「中国郵政」の送り状が貼られた「小形包装物」として到着する種子の多くは、税関への申告を「指輪」「アクセサリー」などと内容物を詐称して送付されている。

画像提供=米農務省(USDA)
米農務省で保管されている種子

ただ、こうした問題が明るみに出る前にケンタッキー州のある女性は、6月に中国から送られてきた種子を、地元の園芸家クラブから送られてきたものと勘違いし、すでに植えてしまっていたという。ローカル局のウェブサイトには実際に発芽した植木鉢の様子を撮影した写真が掲載されている。

これまでにアメリカ各地に到着した「ナゾの種」のうち、APHISが回収できたのは22州分で、調べがついた種子は14種類に及ぶという。今のところ、マスタード、キャベツ、アサガオ、ハーブの類い(ミント、セージ、ローズマリーなど)、ラベンダー、ハイビスカス、バラなどだと明言している。ただ、この後も続々と届くというので、危ない植物が見つかる可能性がゼロとは言えない。

送り主は海外転送を請け負う中国の会社

米農務省は国民に対し、「もし怪しい種子を受け取った場合は、送付されてきた封筒ごとジップロックに入れてAPHISに送るか、連絡するように」と求めている。封筒が中国から来ていることを調査するため、という意向もあるとみられる。一方、中国の反応は次のとおりだ。

「中国外交部の報道官は7月28日に行われた会見で、中国郵政に確認した結果として『伝票は偽造であり、伝票に記載されている情報も正確ではない』と主張したことを紹介。記事は『正体不明の種子は中国郵政によって郵送されたものではない』と主張したうえで、『中国郵政』を騙った詐欺である可能性を指摘」(サーチナ、8月4日付