首相・閣僚・官僚を国会にしばりつける野党戦術の大問題

ところが政府与党は国会を開くことには消極的だ。

それは、国会を開けば野党からの追及が連日報道されることになる。加えて、国会には首相や閣僚がしばりつけられて身動きが取れなくなる。もちろん官僚たちも国会対応にとんでもないエネルギーを注がなければならなくなり、肝心の行政の仕事ができなくなってしまうからだ。

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野党国会議員なら政府の追及をすることも仕事のうちだし、政権入りした与党国会議員なら行政組織を回すことも仕事である。しかし与野党を超えて国会議員のもっとも重要な仕事は「法律を作ること」だ。

ところが、これまで法律を作ることは事実上官僚に任せっきりだった。官僚たちが作る法律を「閣法」(内閣提出の法律案)というが、日本の法律のほとんどは閣法だ。ちなみに国会議員で作る法律を「議員立法」という。大統領制の国であるアメリカにおいては、議員立法が原則だ。

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そして日本の閣法である法律案にコメントを付けられるのは、基本的には与党国会議員のみ。ゆえに野党国会議員は必然、国会では政権のスキャンダル追及に走ることになる。

この国会の仕組みが根本的におかしい。

確かに法制度の詳細は官僚たちに作ってもらうしかないが、大きな方向性などの議論は本来は政治家がやるものだ。さらに官僚では決めることができない決定は政治家がやるしかない。その決定までを官僚たちに委ねて法律を作ってしまうと、本当に国民のためになる法律にならない場合が出てくる。それが今話題の特措法なんだ。

休業させた場合には補償を付ける。

この根幹部分について政治家が決定を避けて、官僚にそれを委ねてきたので、お金はそこまで用意できないという官僚判断になってしまった。それで特措法は補償抜きのクソ法律となってしまった。それが今コロナ対応で日本の国家が迷走している根本原因だ。

補償が付いていないので、行政は、感染の恐れがある地域や事業主に対して休業を「命じる」ことができずに、「お願いする」しかない。感染の震源地はわかっているのに、対策を「お願いする」しかない。そしてあっという間にボヤの火がどんどん広まってしまった。

6月の中旬頃に、感染の震源地と言われていた東京の歌舞伎町の接待を伴う飲食店などをピンポイントに営業停止にしていたならば、今の全国的な感染拡大は防ぐことができたのではないか。もちろん補償付きで。非常に悔やまれるところである。

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今回の特措法改正をきっかけに、「法律の大きな方向性は与野党の国会議員が議論で決め」、「その方向性の中で官僚たちが緻密に法制度を作っていく」という、理想の国会を追求してもらいたい。

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野党は政府の追及のみ。反対のみ。首相や閣僚を国会にはりつけにする。閣僚においては自分が担当の質問や答弁が一つもないのに、ただただ国会の席に座り続ける日々も多いらしい。野党が質問をしたとしても、「そんな質問と回答はウェブ上にQ&Aで貼り付けておいてくれたら十分だ」というしょうもないものも多い。ところが政府与党は、このような野党の国会活動を彼ら彼女らのメンツを立てるために容認する。

そして極めつけが、国会の場と異なるところで、日本維新の会以外の野党がタッグを組んで官僚たちを呼びつけて吊し上げにする「野党合同ヒアリング」。

官僚たちも、国会議員に対する説明だけが仕事じゃないんだ。他にも膨大な仕事がある。にもかかわらず、国会において野党が法律を作ることに関与することができないゆえに、こういう官僚いじめに力を注いでしまう。こんな野党が政権交代を果たしたときに、政府与党として官僚たちを動かせるのだろうか。

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