失業率悪化、不動産高騰、一方で政府高官はぼろ儲け
また、今回の大幅な支持率低下には、韓国の国内経済情勢があります。以前、「韓国『最悪の失業率』で地獄が到来…何もできない文在寅でヘルコリアが加速」でも言及しましたが、韓国の失業率は悪化の一途を辿っているうえに、若者の失業率が全体に比べ2.5倍高く、若者の就職先が限られた社会となっています。文政権は公約として「81万人の雇用創出」を掲げていましたが、高齢層の雇用拡大は一定程度進み、若者の雇用状況は改善されていない状態で、将来を悲観する人が増えています。
この国内の不満に、拍車をかけているのが不動産高騰の問題です。特に、ソウルでは不動産の高騰が止まらず、文在寅政権の発足から3年でマンション価格は5割上昇し、不動産を持つ人と持たない人の資産格差が急拡大しています。このような背景から、不動産価格の高騰で家の購入をあきらめるしかない若い層が、文大統領の支持層から離れていっているのです。
その一方で、政府高官が複数の住宅を所有し、資産を増やして財テクを行っていた事実が発覚しました。不動産を購入できずに困窮している国民が多い中で、投資用の家を何戸も所有する高官の存在に、国民は怒りとともに呆れかえったのです。
文大統領、不動産問題にメスをいれるも……
この状況を重く見た、文大統領は6月17日に不動産対策の発表を行っています。「不動産投機の抑制」と「住宅価格の安定」のために複数の住宅所有者には税の負担を引き上げる対策で、具体的には投機目的の住宅保有者の負担強化、住宅供給拡大、初めて住宅を購入する人の税金負担緩和の追加対策づくりを指示しています。これによって、不動産投機による金儲けができないように意図しています。
また、聯合ニュースによれば、政府与党が「国会議員や高位公職者に複数の不動産を保有する場合は1つを除いて処分するように求める劇薬処方に乗り出した」と報じています。
しかし、国会議員や高位公職者が売却する不動産の数では依然、不動産は足りないうえに、上記の不動産対策の施策がうまくいったとしても、定着するまでにはしばらく時間がかかるでしょう。今すぐに不動産価格の高騰を是正できるわけではないことから、国民の不満は収まらないのです。