「学習量」と「くり返し学習」を重視する塾

【早稲田アカデミー】

原理原則の理解から思考を深めていくのではなく、一問でも多くの問題を解くことによって考え方や解き方に慣れさせようとする傾向がある塾です。くり返し学習することで身に付く子には向いています。解いて覚えるだけなので学習方法としては分かりやすく、親の管理が楽であるという面もありますが、納得しないと先に進めないタイプの子どもの場合は、戸惑ってしまうこともあります。

早稲田アカデミーといえば、宿題の多さで有名ですが、圧倒的に多かった宿題は減りつつあります。ただし、宿題をやったかどうかのチェックの厳しさは維持しています。テキスト編成は、これまでは『予習シリーズ』+『ダブルベイシック』でしたが、学年やクラス帯によっては、『ダブルベイシック』が『錬成問題集』や『COMPASS』に変わっています。テキストの難易度の差が大きいので、使い方には注意が必要です。

学習量やくり返し学習を重視するタイプの塾であることは変化していません。そのために、理解や納得を伴わない“丸暗記学習”の癖がつきやすく、5年生の半ばあたりから成績が伸び悩む子の比率が高まる傾向にあります。

また、校舎長の権限が強く、校舎ごとの合格実績に差が出やすいという特徴があります。実際に校舎に足を運んで、掲示されているその校舎の合格実績を調べたり、直接聞くなどして、子どもが通う校舎の合格実績に注意しておく必要があります。

「子どもが自ら伸びる環境」はどこかを考える

こうしてみると、ひとくくりに大手塾といっても、カラーが全く違うことが分かります。本書ではやや辛口のコメントを紹介しますが、塾選びの参考にしてみてください。

そもそも塾は何を基準に選べばよいのでしょうか? 「うちは御三家狙いだからSAPIX」という選択が間違いだとは言いません。でも、「SAPIXに通えば全員が御三家に行ける」というわけでは、もちろんありません。

多くの親御さんは、「大手塾に通わせていれば、わが子の成績が上がる」と思い込んでいます。けれども、塾は勉強の内容を教えるところであって、子どもの能力を伸ばすのは塾の役割ではありません。あくまで「子どもが自ら伸びる環境」として塾を選ぶべきなのです。そのためには、子どもの学力と性格をしっかり見極める必要があります。

時として親というのは、わが子の長所をしっかりと把握できていない場合が少なくありません。例えば、学習の理解に時間がかかる子はスピーディーに問題を解くことは苦手でも、じっくりコツコツ取り組むことができるという粘り強さがあります。

逆に理解が速い子はスピード能力や複数のことに目が向けられる器用さはありますが、ムラもあり、ミスも多いものです。