「お得さ」に流されて、収入と支出のバランスが崩壊

具体的な支出の状況を聞き、支払い履歴を見ながら支出の総額を出していくことにしました。

食費(月10万3000円)、被服費(同2万8000円)、交際費(同2万3000円)を中心に、支出がかなり多くなってことがわかりました。前述のように、キャンペーンに乗って、ポイントがたくさん得られるうちに買おう、使おうということが原因です。

クレジットカードと紐づけられないLINE Payなどは、残高がないと不安になり、少なくなるとすぐチャージ。貯まったポイントもすぐに使えるので、コンビニ利用が増えたといいます。無計画にチャージしては支払いに使うというプロセスを繰り返して支出が増えてしまったのです。他のアプリも同じように使っていました。

家計の鉄則として言えるのは、クレジットカードであれスマホのアプリ決済であれ、お金の支払い方が変わっただけで管理の仕方は現金と同じだということです。いわばお金の形が変わっただけなのです。「お得さ」に流されて、収入と支出のバランスをチェックしわすれてはいけません。

弁当、飲料品……「コンビニ」でアプリ決済三昧のツケ

Tさん宅の家計簿をさらに詳細にチェックすると、買い物の仕方が変わったことも判明しました。「コンビニでの買い物」が急増しているのです。コンビニは2%引きで買い物ができる(2020年6月30日まで)ということで、どうやらいつもより1、2点多く買いものカゴに入れていており、買い物をする頻度も増えていました(特に、コンビニ弁当などの飲食品の購入)。

Tさん夫婦には、支出を正常な状態に戻すために、コンビニの利用の仕方も見直ししてもらうとともに、主に使うアプリを定めてもらうことにしました。あちこちに支払い記録が残っては、把握しにくいからです。そして、それに紐づける口座、クレジットカードを紐づけるのならその支払いをする口座を1つにまとめ、わかりやすくすることにしました。これで、キャッシュレスでの決済と、口座からの支出、両面から支出状況を把握できます。

無理に還元を狙うのではなく、生活の中で自然に得られるポイントを家計に還元していくということで節約につなげていく消費スタイルに変更するのが狙いです。

その結果、食費(月10万3000円→6万6000円)、被服費(同2万8000円→6000円)、交際費(同2万3000円→1万8000円)と大幅に減額することができ、家計簿は劇的に改善されました。毎月ほとんど貯金できないか赤字だったものが、コンスタントに月約8万円も貯められるようになったのです。

一般的に、それまできちんと家計管理ができていても、「支出の仕方が変わった」「支出状況が把握しにくくなった」ということでそれが乱れてしまうことがあります。

最近はAI、フィンテックなどテクノロジーにより様々なことが変わりました。そして、お金の在り方も変わってきています。こういった時代の変化に適応していかなければ暮らしにくくなるという時代も来るでしょう。つまり、お金を使う側の感覚も日々アップデートしていくことが、浪費をなくし、お金の管理をするコツだと言えるでしょう。