また、委託事業のこまめな報告制度の導入も必要だろう。理由としては、委託先が何をやっているかを国がチェックできるように制度化しないと、経済産業省側では実態を把握できないためである。
どの委託事業でも基本的に国から随時、報告は求めているが、今回のケースでは、経産省側が委託の実態を把握したのは支給開始から1カ月後だったようである。申請件数、支払い件数、未処理件数を集計させて週次で報告させて、公表するなどの対応が必要だろう。これにより、報告が遅い委託先には、委託費を支給しないなどの対応も可能になる。
「外部有識者による審査会制度の義務化」は欠かせない
補助金制度の場合、補助金等適正化法が適用され、どの企業を採択するかは、審査基準を設けて外部有識者による審査会を開き、採択される。審査基準は補助金制度の担当者で原案を作るが、審査会では担当者は事務局に過ぎないため、担当部署の恣意的な判断は入りにくい。
しかし、委託事業の場合には、外部の有識者による審査会を開く必要はない。民間の契約と基本的には同じだからである。入札方式の場合、基準は示す必要はあるものの、どこを採択するかは行政上層部の意向が働きやすい。特定の上層部の恣意的判断を避けるには、委託事業についても、外部の有識者による審査会制度を義務化すれば、恣意的な判断はある程度は防止できるのではないか。
これまで述べてきたように、委託事業の問題は持続化給付金事務事業だけでの問題ではなく、経済産業省だけの問題でもない。中央省庁全体の問題である。再委託制限の統一ルールが存在しない現状からは、先ずは中央政府自身が主導して統一ルールを制定することが必要となろう。また、委託先の選定についても、外部有識者による審査会制度の義務化を中央省庁の統一ルールとして導入することが重要と筆者は考える。