では、ここで考えてみてほしい。

あなたが恋愛リアリティー番組に出演したとして、2メートルほど離れた目の前で、業務用のカメラが回り、かつショットガンマイクが向けられている部屋で、「自然な会話」ができると自信を持って言えるだろうか。

「テラスハウス」含め、恋愛リアリティーショーに出演する男女は一般的に、芸能事務所に所属するモデルや俳優の卵であることが多い。それは、彼らがカメラを向けられても自然な姿で振る舞えるからという理由があることは言うまでもない。つまり、制作サイドの撮影や編集、出演者の人選などの工夫によって、視聴者は“リアリティー”を提供してもらっているのである。

見られるためには、SNSでバズるしかない

さらに、もう一つ重要な論点がある。それは、番組制作サイドがSNSで話題になることを重要な価値指標に置いている点だ。

前出の恋愛リアリティー番組は、どれもネットで配信されるため、ネットで話題になることで、口コミ的にアプリやサブスクリプションサービスへの登録を促すマーケティング戦略が取られていた。その動線はTwitterやインスタグラムなどのSNSとYouTubeだ。

YouTubeについては、番組の冒頭だけを見せ、本編は有料会員に登録させる導線づくりとして機能しており、SNSは個々の出演者にアカウントを持たせ発信させることで“ファン”を増やしていく戦略だ。

番組放送後、視聴者はSNSにある出演者の投稿をチェックし、出演者の番組内での振る舞いと、SNS上の発信という2つの“メディア”を往復することになる。こうして、その往復移動が増えていくと、視聴者は木村さんを含む出演者をフォローしたり、ときにはコメントを送ったりするようになり、番組にハマっていくのである。