ジェラシー渦巻く政界は粘着攻撃も

7月5日投開票の都知事選は、このままいけば11年以来9年ぶりの任期満了に伴う選挙となる。小池氏は出馬するのか明言していないが、都知事選に過去2回出馬し、いずれも約90万票を獲得した元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏や、大麻解禁や「低用量ピルで女性の働き方改革」など大胆な提言が波紋を広げる実業家の堀江貴文氏らの名が浮かぶ。ただ、多くのメディアでは、再選を目指す現職は強い傾向にある上、新型コロナウイルス感染症への対応で国民の評価も高い小池氏の圧勝は動かないと見ている。

とはいえ、小池氏にも全く隙がないわけではないだろう。嫉妬が渦巻く政界で「アンチ小池派」は攻撃の手を緩めてはいない。その筆頭が「大学卒業問題」だ。小池氏は、これまで9回の国政選挙や16年の都知事選で経歴に「カイロ大学卒業」と掲げてきた。だが、この経歴が虚偽ではないかとの攻撃を執拗しつように繰り返している。小池氏の支援で17年夏の都議選で当選し、その後離縁して小池氏批判の急先鋒になった上田令子都議もその1人だ。上田氏は18年9月の都議会で「メディア等の学歴報道が正しくないのであれば、法的な措置も含め、毅然きぜんとした態度をとられるのが政治家の本懐だ」と指摘し、大学卒業の有無をただしてきた。

カイロ大学はいずれも「卒業」と回答

上田氏が触れた「メディア等」とは、ノンフィクション作家の石井妙子氏が18年7月に著した『小池百合子 「虚飾の履歴書」』(文藝春秋社)や、それに連なる週刊文春の記事などを指す。上田氏は、石井氏の大学学部の先輩にあたり、取材協力もしてきたと本人が明かしている。都知事選を直前に控え、今回は、それらの記事とカイロ大学関係者を含む多くの関係者への取材で得た証言を比較、検証してみたい。告示まで1カ月を切ったとはいえ、「カイロ大学卒業」が万が一にも虚偽であれば重大である一方、選挙公報に記載されている通り卒業しているならば、それ以上の追及は意味がなく、むしろ選挙妨害に抵触しかねないと判断したからだ。

まず、石井氏の著書では、小池氏の元同居人の話として「彼女は実際にはカイロ大学を卒業していません」と掲載している。この元同居人を根拠にした記述が目立ち、卒業関係書類のロゴやスタンプが異なる点なども指摘している。ただ、著書の中では、大学に照会したところ、カイロ大文学部日本語学科の教授から「確かに小池氏は1976年に卒業している。72年、1年生の時にアラビア語を落としているが、4年生の時に同科目をパスしている。これは大学に残されている記録であり、私たちは何度も日本のメディアに、同じ回答をしている」との回答を得たと記している点は興味深い。