レナウンの衝撃は他のアパレル企業に

10年かけて会社はボロボロになり、自社の意志では何も決定できなくなったレナウン。最後は親会社に見放された格好になりました。

レナウンの破綻は、進めていたEC化の遅れも要因の1つです。レナウンの19年12月期の業績では、ECの売上高は11億900万円で、EC化率は3.2%でした。EC売上の拡大計画を掲げていましたが、うまく、伸ばすことができていなかったのです。

このEC化率については、他の百貨店を主力としてきた総合アパレル企業にとっても、生き残りをかけた施策となります。「ポールスチュアート」などを展開する三陽商会の20年2月期におけるEC売上高は84億6400万円で、EC化率は12.7%です。「23区」や「自由区」を運営するオンワードオンワードホールディングスの20年2月期におけるEC売上高は、333億800万円で、EC化率は13.4%となっています。

オンワードホールディングス、三陽商会など百貨店を主力としている企業がECの強化をしていくことは、百貨店の衣料品フロア自体が維持できなくなることを意味します。百貨店と言えば、メインの階に華やかな、衣料品店舗が占めている、今の姿も、今後は全く違う姿に変化していく事になるでしょう。百貨店も変革を受け入れることができなければ、存続自体が危うい業界なのです。

リユース・中古品の台頭

それに加えて、直近のリユース市場の台頭です。「経済産業省の平成30(2018)年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告」によると、18年のフリマ市場は6,392億円であり、はじめてフリマアプリが日本に登場した12年から、僅か6年で巨大な市場が形成されたことになます。一方「衣類・服飾雑貨等」の小売市場規模は推定で約14兆円とされ、また、同カテゴリーの国内ECの市場規模は先述の通り1兆7700億円とこちらは拡大傾向です。今のところ、マーケット全体で考えると、フリマアプリがアパレルの実店舗やEC市場に巨大な影響を与えているとは言えないと分析しています。

現状のフリマ市場の位置付けは、フリマアプリ(二次流通)と新品市場(一次流通)は補完関係にあり、フリマアプリは“売ることを前提とした買い物”という新しい消費スタイルを確立しつつあります。フリマアプリのプラットフォーム事業者による決済サービスによって、例えばフリマアプリでの売却代金を実店舗やECでの購入に充てるといったことも可能となっています。フリマアプリは新品市場と競合するポジションというよりも、刺激する存在との見方が、現段階では適しています。