他方、欧州はコロナ対策で、迅速で強力な医療や経済対策をめぐって、足並みの乱れや対立が表面化しています。アフターコロナの世界は、欧州では格差、分断が深刻になりそうです。新型コロナウイルス以前から、中国の景気減速や米中貿易摩擦などで、欧州の製造業は失速していました。それでも、なんとか内需やサービス業は堅調に推移していましたが、そこに、新型コロナの影響でロックダウンを余儀なくされたことで、一気に内需とサービス業が冷え込んだのです。

国際通貨基金(IMF)が「大封鎖」(The Great Lockdown)と題して20年4月14日に発表した世界経済見通しの中で、GDPについてドイツは2020年がマイナス7.0%、21年5.2%、イタリアが20年マイナス9.1%、21年4.8%と発表しており、落ち込みと回復においてユーロ圏内で差が出ていることがわかります。アフターコロナの世界では、欧州の分断と格差が進むことになりそうです。

日本は米中対立の狭間で生き抜くことになる

最後に、日本について言及します。日本は米中対立の狭間で生き抜くことになります。今回のコロナショックで、日本の上場企業の純資産合計は数~数十兆円の赤字になることが予想されます。今のところ、日経平均はリーマンショックよりやや悪い株価純資産倍率(PBR)の0.8倍台である1万5000円が底値付近であるとの見方が強いです。

フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議の最新の試算によると、上場企業の純資産が約550兆円、PBR1倍となる日経平均の水準は約2万円です。ここから、日本企業の赤字が発生し、PBR0.8倍とした場合、赤字が約30兆円だとすると1万5127円、50兆円だとすると1万4545円と試算しています。ただし、これはコロナによる影響が1年続いた場合であり、2年続いた場合は違ったシナリオを描く必要が出てきます。

(構成=プレジデント編集部 撮影=横溝浩孝)
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