4月22日公開の「牛乳をまもろう」では、学校の休校に伴い給食用の牛乳が捨てられている実態を、白石さん自ら描いた紙芝居で紹介。後半は英語で「牛乳をモ~一本、買ってみませんか」と訴え、再生は5月10日で約3万3000回。
休日はYouTubeを研究、制作は手探り
コンビは、企画の公募を知った白石さんが、隣の課にいた1年先輩の野田さんを誘ったことから始まった。
2人ともカメラや映像に関心があったが、動画制作は未経験。鹿児島県出身の白石さんは「祖父母が米農家で農業の魅力を伝えたかった」、福岡県出身の野田さんは「大学で留学生サークルにいた経験から、日本の食を世界に発信したかった」と2人とも真剣だ。休日にはYouTubeを終日、見て研究しながら手さぐりで制作を進めてきた。
動画のやり取りは、生真面目でやや不器用さが残る野田さんが「静」、ドヤ顔で軽妙な口調で先輩に突っ込む白石さんが「動」と絶妙の間合いで進む。
「花農家さんが『励みになった。売り上げも伸びたと思う。頑張ってください』と言っていると聞きうれしかった」と白石さん。ただ野田さんが4月から東京・霞が関の農林水産省の国際関係部署へ異動、コンビからの引退を表明した。
「大臣も知らなかった」というこの異動は、実は野田さんが英語とドイツ語に堪能なことを買われての栄転なのだが、ネット上では惜しむ声が引きも切らない。
「タガヤセキュウシュウ」も「TASOGARE」も、単なる役所の公式発表を補って余りある効果を上げている。広報室の安川徹室長は「国民が知りたいことに寄り添い、『応援したい』と思わせる若手が発信するから伝わっている」と言う。
「ユーチューバーとか流行っているだろ、あれをやれ」
「BUZZ MAFF」発足は、昨年9月に就任した江藤拓農水相が広報室に発破をかけたことがきっかけだ。「農水省のホームページを若いのが見るか? 見ないだろ」「ちゃんと広報やっているのか?」「ユーチューバーとか流行っているだろ。あれをやれ」「面白ければなんでもいい」「そんなことまでやっちゃっていいの? ということに挑戦せよ」「俺もなんでもやる」という激励だったという。
すでに公式SNSやYouTubeチャンネルはあったが、反応は今ひとつ。
そこで広報室では各種YouTube映像を研究。省内に茶道家や料理研究家などさまざまなスキルを持つ職員が少なからずいることもあって、職員が個性を発揮して農林水産業の魅力を発信する動画チャンネルの新設計画を昨秋に立ち上げた。
若手を中心に参加を募ったところ23チームが応募、本省5、地方農政局の9の14チームが選ばれる。