「大臣をここまでいじるのか」「これなら最後まで見られる」

人気急上昇中なのが、TASOGARE名で発信される、江藤拓農林水産相の会見を「アフレコしてみた」シリーズだ。宮崎県出身の大臣の会見を、同じく宮崎県出身で入省2年目の松岡慧さん(23)が「故郷の祖父にもわかる形で伝えたい」と、テロップと音声でカバーした。

第1弾として4月22日に公開した「消費者の皆様へのお願い」は「食べもんのことやっちゃけど」「十分な量は確保しちょるし」「供給体制もしっかり整えちょる」「輸入が滞っちょるちゅーこつもねーから落ち着いて」と進む。

「大臣をここまでいじるのか」「お堅いしゃべりだと頭に入ってこないけれど、これなら最後まで見られる」といった反響があり、5月10日現在で5万回以上再生された。「大臣には事後報告、大ウケでした」と広報室の担当者、松本純子係長は言う。

4月30日に公表した第2弾は、5月を「母の月」として1カ月を通じて花を贈ろうという業界団体の方針を支援する内容だ。

5月10日の母の日に贈り物が集中すると「配送がいっぱい、いっぱいになっちゃねえかなあ、と思いよっつよね」として、物流の集中を避けることと花の消費拡大を狙い「5月をまるまる『母の月』としませんか」と呼びかける。再生は10日現在で1万7000回を超えた。

松岡さんは東京の農林水産省本省に勤務、大学時代から地域活性化を目的としたPR動画や映画を製作、カメラマンとして機材や撮影手法を勉強していたセミプロで、自費で映画を企画・制作し、上映会を開いた経験もあるという。

「コメディアンかと思ったら本物の公務員でびっくり」

「BUZZ MAFF」がバズったきっかけは、九州農政局の「タガヤセキュウシュウ」で、入省2年目の白石優生さん(23)と3年目の野田広宣さん(26)のコンビ。熊本県が日本一の産地である「い草」の現場ルポなど体当たりの作風が特徴で、これまで13本の動画を発表、いずれも数万回から数十万回の再生を数えるヒットとなっている。

中でも「コロナ禍」で卒業式などが中止され、減少した花の需要拡大を訴える動画は3月12日の公開以降、再生が70万回近くに迫る勢いだ。

カットが変わるたびに九州産の花が画面を埋め尽くしていき、ラストではサングラス姿の野田さんの頭から花冠がずり落ちる。その様子が「シュール」と評判を呼び、複数のメディアで紹介された。「コメディアンかと思ったら本物の職員でびっくりした」「こんな人たちが農水省の職員なら日本の未来は明るい」といった反響がある。