「新しい生活様式」を一体いつまで続ければいいのか
専門家会議の「新しい生活様式」は、日常生活については以下の6つを挙げる。
②せきエチケットの徹底
③こまめな換気
④身体的距離の確保
⑤「3密」の回避
⑥毎朝の体温測定による健康チェック
①~③までは常識的な事項だから許せるが、④~⑥を暮らしの中で習慣にするには無理があると思う。大勢が集まるパーティーや飲み会などは、できなくなり、すべてオンラインによる間接的なものになってしまう。結婚式や葬式などはどうすればいいのか。オンラインで行えというのか。緊急事態宣言が発令された“戒厳令下”ならまだしも、「平時の日常でも遵守したい」というのはいかがなものだろうか。
また、会食に関してもこんな注文を出している。箸からウイルスが広まる危険があるため、料理は大皿を避けて1人ずつ分ける。飛沫(唾液などのしぶき)が飛ぶ会話は控えめにする。対面でなく、横並びに座る。
人間は社会的動物である。人と人が直接会話したり、触れ合ったりすることで人間社会が成り立ってきた。これでは「もとの暮らしに戻った」とはいえない。一体、これをいつまで続ければいいのか。
さらに朝日社説は書く。
「感染の拡大と縮小、行動制限の強化と緩和が、当分の間繰り返されそうなことが、はっきりしてきている。現在の宣言を解除できる状態にもっていくだけでなく、『その後』も見すえ、長期的視点に立った構想を準備することが欠かせない」
その通りだ。安倍政権は宣言を解除した後を十分に検討しておく必要がある。
このまま規制を続ければ、日本社会は疲弊する一方だ
読売新聞の社説(5月5日付)は、「緊急事態延長 医療態勢整え長期化に備えよ」との見出しで、今回の延長に対し、「医療現場の逼迫した状況を考えれば、一定期間の延長は妥当と言えよう」と評価している。安倍政権に対するこうした評価からして朝日社説とはそのスタンスが明らかに違うことが分かる。
読売社説はこう解説する。
「政府は、感染防止の具体策を明記した基本的対処方針を改定し、累計の感染者数が多い『特定警戒都道府県』の13都道府県には、従来の行動制限を求めた」
「一方、感染者の少ない地域では、外出自粛を緩和するほか、少人数のイベントの開催を事実上、認める。長期にわたり経済が冷え込むことを懸念したのだろう」
このまま防疫のための規制を続ければ、日本の社会が疲弊することは目に見えている。感染拡大を防止することと、社会経済活動と国民の生活をもとに戻すことをどう両立させていくか。そのために確かなロードマップが必要だ。先を見通した計画を国民の前に具体的に示さなければ、日本の社会は不安という闇で覆われてしまう。