——一般的な街頭活動のイメージとは違いますね。

そうですね。やっぱり、私が既存の市民活動に違和感があったからですね(苦笑)。首相官邸前や国会前、議員会館前のいろいろなデモに参加してきましたが、やはり関心のある一部の人しか集まりません。

上西教授(写真=菅原雄太)

「これをやってどんな意味があるんだろう」と思うことがありました。無意味だとは言いませんが、限界があると感じていました。

例えば労働組合が主催するデモで、組合の旗が並んでいるとき。私はどこに立ったらいいのかって思っちゃうわけです(笑)。

さらに、最後はお決まりのシュプレヒコールです。

安心して足を止めてもらえるような空間づくり

もちろん団結力を高めることや問題意識を共有することは大切なんです。みんなで「反対!」ってやりたい人もいる。しかし、そんな運動だけでは、問題が山積している法案が国会を通っちゃう現実があるんです。

一方で落ち着いて問題を考えたいという人も大勢いるはず。既存の労働運動や市民運動は、従来の参加者の外にどう広げていくか、というところがものすごく足りないなって思ったんです。

国会PVでは落ち着いて問題を考えたい人たちにも、安心して足を止めてもらえるような場にできるよう心がけています。だからビラを配らないし、コールもしません。淡々とした解説を添えて国会審議を見てもらい、考える材料にしてもらおうと思っています。

——国会審議はテレビや新聞でも報じられます。それでは不十分ということですか。

高プロに関する報道が、残念ながら良い例だと思います。地上波でNHKや民放のニュース番組が一生懸命取り上げてくれればいいんですが、高プロの問題はあまり取り上げられなかった。

特にテレビですが、絵にならない複雑な問題はニュースになりにくい。国会がニュースになるのは、多くの場合、安倍首相が出席する予算委員会や本会議、それと、与野党がもみ合いになる採決の場面ですよね。

2015年の安保法制の時などは、議員たちが委員長席を取り囲んでマイクの奪い合いをする映像が頻繁に流れました。もみ合いのシーンは、単純明快で絵になる。テレビも取り上げやすいわけです。

メディアがやらないから私たちがやっている

——分かりにくい問題は、ニュースになりにくいということですね。

さらに、採決の段階でメディアが問題を取り上げても遅いと言わざるを得ません。委員会で採決をされたら次は本会議です。衆議院が終わったら参議院、そしてあっという間に成立です。メディアの動きが鈍いのは致命的なんです。

だから、法案が国会に出される段階、あるいは審議の段階から情報発信をして、多くの人に関心をもってもらうことが大切です。

それをメディアがやらなかったから私たちがやったんです。でも、私たちはメディアの代わりにはなれません。国会PVという一つのモデルをぜひ参考にしてほしいと思います。

——国会審議での注目ポイントを教えてください。国会PVで伝えたいことは何ですか。

今、国会で何が議論されているのか。野党がどういう質問をして、安倍首相や閣僚がどう答えたか。ありのままを見てほしいと思っています。国会PVは国会審議を「可視化」することが大きな目的です。

しかし、今のテレビや新聞だけでは正確に可視化できているとは言えません。