安全対策をすべて整えての学校再開
そして日本政府が休校を要請する2日前の2月25日、台湾の学校は予定通り開校した。開校日までの間に、台湾政府、衛生福利部、教育部、各自治体、教育機関は連携して必要な対策を策定し、実行した。その内容がまた見事だ。具体的には、以下のような内容である。
額検温で37.5度以上、耳内検温で38度以上あった場合は出席停止。症状によっては即時病院へ。発熱や症状の疑いのある生徒は、休んでも欠席扱いにはならない。
2.教職員は、発熱や呼吸困難など何らかの症状が校内で出た場合、すぐにマスクをし、帰宅まで個室待機
3.645万枚のマスクを、全教育機関に予備用として配布済み
(全国の教職員・生徒・学生に対し1人1枚に相当)
台湾ではすでに国民全員に平等にマスクを有料配給する仕組みができており、十分な量とは言えないが、マスクを持っていない生徒は原則としていない。
4.アルコール消毒液8.4万トンが、教育機関に配布済み
校門、教室、トイレなどあらゆる所に設置されている。
5.額にかざす非接触式体温計2.5万個を全学校・教育機関に配布済み
6.2月23日までに学校の完全消毒完了
休校中に教職員が総出で、教室内の机や椅子、廊下などの全面消毒を実施。
7.開校中は教室の窓を開け、換気を十分に行う
8.感染者に接触したと思われる場合は、14日間自宅待機とする
9.大型の学校行事や入れ替え授業(複数クラスの交流など)は中止
10.感染者が1人出た場合は学級閉鎖、2人出た場合は学校閉鎖。
11.学校に医師を派遣し、感染予防指導や見回りを行う。
始業式前の2週間で、これらの安全対策をすべて整えての開校となった(なお、休校中、学級閉鎖中、自宅待機中の、eラーニングなどインターネットによる学習環境はすでに整っている)。筆者も当日、台北市内で小中学校や高等学校の登校風景を取材したが、各学校の校門には警察が動員され、教職員や保護者が生徒を手際よく誘導しており、大きな混乱は見られなかった。