褒賞金「1億円600万円」を自分のためには使わないワケ

大迫は今回の東京マラソンで日本記録を樹立したことで、実業団マラソン強化プロジェクト「Project EXCEED」による日本記録突破の褒賞金1億円を手にした(加えて、大会4位の賞金100万円と日本新記録ボーナス500万円も獲得している)。

2018年のシカゴと今回の東京で、わずか4時間ちょっとで2億円以上を荒稼ぎしたことになる。プロのマラソンランナーの収入源は、大会の出場料(国内主要大会の目玉選手で数百万円)と賞金(東京マラソンの場合は優勝賞金が1100万円)が中心だが、大迫の場合は先述したビッグボーナスに加えて、ナイキ、マニュライフ生命などの契約金も収入源の柱だ。さらに芸能事務所のアミューズとも契約しており、帰国時にはタレントとしてテレビ番組に出演することもある。

オリンピックでメダルを獲得した高橋尚子や有森裕子のピーク時には届かないとしても、日本の男子選手では金銭的に最も成功したランナーといえるだろう。今回の約1億円の使い道については、こう答えている。

「自分自身のためにというよりも、これから育っていく選手のために使っていくこともあるのかなと考えています」

時給5000万円の大迫の生き方に触発されるビジネスパースン

昨年10月、自身のツイッターで2021年3月をめどに自らがマラソン大会を創設する意向を表明したが、その準備は着々と進んでいる。今回の1億円は大会開催資金の一部にもなるようだ。

写真提供=ナイキ
大迫傑

「まだお出しできる情報は少ないですけど、強いコンセプトとしては、日本人が世界との差を縮めるためというのが軸になっています。あとは、新しい競技の見せ方。選手ファーストでありながら、オーディエンスも盛り上がって、見ていて楽しいというか、ワクワクするようなイベントにしたいと思っています」

他にもトラックレースや、未来の選手たちに向けたスクールなども考えているようで、実業団ランナーと比べて、幅広く活動していくようだ。すでに日本マラソン界のスターになった大迫。今後の動向からも目が離せない。

大迫の歩んできた陸上バカともいうべき人生。常識にとらわれず、常に結果を残すためにどう動くべきかを考えた結果、4時間で2億円=時給5000万円の大迫の走りや生き方に触発されるビジネスパースンも多いのではないだろうか。

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