心を込めた掃除習慣が安定した大学進学実績につながっている

同校では、誤って裏門から入試会場へとやってきた親子を、応援に来た塾講師が並んでいる正門まで1組ずつ案内する姿が例年見られる。裏門からも入試会場には入れるが、正門から入り直すことで受験生が少しでもリラックスできればという思いがあるのだろう。

また「掃除」には、人への配慮や思いやりの気持ちを養い、心と頭を整える効果があると言われる。ひょっとすると、同校の安定した大学実績はそうした習慣にあるのかもしれない。

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取材して意外だったのは、前出・池田先生が、「学校にとって入試運営は緊張するもの」と語ったことだった。入試は、文化祭などと同様に学校における年1回の「恒例行事」で、入試を運営する側はすっかり慣れているものと考えていたからだ。

「たとえば、入試問題です。これはいや応にも外の目に触れるものです。わたしは入試問題とは教員の思い、教育観が現出していると考えています。当然、教員の科目指導の力量も如実に表れます。わたしたちは各科目『一体感』のある入試問題内容、体裁でなければいけないと強く考えます。そのためには教員たちがしっかりとしたコミュニケーションを図らないといけません。もし、その一体感が感じられない入試問題であれば、外から『ああ、あの学校は教員同士のつながりが希薄なんだろうな』と思われかねませんしね」

入試でその学校のクオリティが判断できる

入試問題は、学校が「こんな生徒を求めています」という受験生へのメッセージである。受験生たちはどんな入試問題を解くことになるのかドキドキするのだろうが、同様に学校の教員たちも、自分たちの「プレゼンテーション」を受験生がどう受け止めてくれるかハラハラしているのである。

例年、入試で出題ミスをおかす学校があるが、そうなれば学校の評判は落ちる。だから、担当教員たちは何カ月も前から出題問題を練りに練って作り上げる。

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普連土学園の入試問題にはユニークな面がある。国語の読解問題では、正解の選択肢だけでなく、△(正解でも不正解でもない)に相当する選択肢(これにも配点がある)を設けている。また、算数では会話文形式の問題が必ずある。計算の力だけではなく、論理的に問題を解いていくそのプロセスを問うというのが、普連土スタイルなのだ。

前出の池田先生は、採点の様子について、こう教えてくれた。

「採点は大変ではありますが、楽しい時間です。たとえば、国語ですばらしい記述を書いている子などがいると、『こんな答案を作成する子に来てほしいなあ』なんて教員たちで盛り上がることもしばしばです」