東京オリンピック開催に合わせて施行された

そこで、東京オリンピックの開催に併せて、オリンピックチケット等の不正な転売を防止することを目的として、令和元年6月14日、チケット不正転売禁止法が施行されました。

この法律でいう「不正転売」とは、興行主の事前の同意を得ないで、反復継続の意思をもって、販売価格を超える価格で特定興行入場券を販売する行為のことを言います(チケット不正転売禁止法2条4項)。

「特定興行入場券」とは、不特定又は多数の者に販売され、かつ、次の1から3の全ての要件に該当するスポーツイベントやコンサートのチケットのことを指します(チケット不正転売禁止法2条3項)。

① チケットを販売する際、興行主が、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示し、かつ、その旨が当該興行入場券の券面(電子チケットの場合には映像面)に表示されていること
② 興行が行われる特定の日時及び場所並びに入場資格者又は座席が指定されたものであること
③ 座席が指定されたチケットの場合、購入者の氏名及び連絡先(座席が指定されていないチケットの場合には、入場資格者の氏名、電話番号、電子メールアドレス)を確認する措置が講じられ、かつ、その旨がチケットに記載さていること

チケットの転売は規制が厳しい

自らが購入した金額より1円でも高い金額でチケットを転売してしまうと不正転売に該当します。一方、購入金額と同じかそれ以下の金額でチケットを転売する行為は、不正転売には該当しません。

不正にチケットを転売した場合の罰則は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはそれらの併科です(チケット不正転売禁止法9条1項)。また、不正にチケットを譲り受けた場合にも同様の罰を受けることになります。

過去には、プロ野球のオールスター戦のチケットをインターネットの転売サイトで3回にわたり、4枚を合計5万6500円(定価は1枚3400円)で転売したとして不正転売禁止法違反で逮捕された事例、宝塚歌劇団の退団公演チケット3枚を計2万4900円で購入し、転売サイトを通じてファンの女性に計8万9000円で転売したとして、チケット不正転売禁止法違反で逮捕された事例、アイドルグループのコンサートチケット4席分をインターネットサイトで合計42万3000円(定価計3万2000円)で転売したとして、チケット不正転売禁止法違反で書類送検された事例などがあります。

通常の物品とは異なり、チケットの販売には厳しい規制があるため注意が必要です。

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