印象論だけの政権批判は「竹槍の戦い」にすぎない

現在のポスト紙は紙よりも有料デジタル版のほうが、契約者数が多い。100万を超えるデジタル版の契約者数がある。

連載では、時間をきめて読者からの質問に、デジタル上で、取材班の記者たちが答えるというイベントがあった。その記録は今も掲載されているが、読みごたえがある。たとえば実際に子どもが兵士として来年の2月にカブールに赴任するという親からは、このような評価がわかった今、「どうやって、戦場に赴く若い兵士たちに、あなたたちの努力は意味があるというべきなのか?」といった問いにも正面から答えている。

下山 進『2050年のメディア』(文藝春秋)

ペンタゴン・ペーパーズとアフガニスタン・ペーパーズには共通の特徴がある、現在進行中の戦争について、政府が調査をし、その有効性に大きな疑問をなげかける。文書は、政府内にとどめおかれ、国民には共有されない。それを「第四の権力」としてのメディアが明るみに出したという点だ。

ひるがえって日本はどうか? まず政権が、政権の政策が失敗しているのではないか、というような調査自体を行うことはない。そして記録自体が、シュレッダーにかけられた(「桜を見る会」今年の招待者の名簿)、あるいは、廃棄された(2016年の自衛隊南スーダン派遣部隊が作成した日報)と発表される。

そしてメディアは、そうした政権に、印象論だけの否定で「竹やりの戦い」をしているように見える。

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