お風呂は単に体を洗う場所でなくリラクセーションの場所に

最後に浴室ですが、ここでも3つのポイントがあります。

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いざというときも安心!トイレ、洗面所、浴室回りの要点

まずは居心地の良さ。かつてお風呂はただ体を清潔にするだけの場所でしたが、いまはリラクセーションルームという考え方が広まっています。スペースを広くしたり、2階の日当たりのいいところにお風呂を移したり、庭やバルコニーに向かって開放的なスペースに変えたりしたいという方も増えています。また、一昔前は高級品であったミストサウナや浴室用テレビなどが、いまは一般的な設備になってきました。自分たちにとってどんな浴室が一番くつろげるのかということを考えてリフォームをするのがいいと思います。

そして強調したいのが、安全性です。浴室での事故は多く、年を取れば取るほど危険性を増します。前述したヒートショック現象を防ぐためにも、浴室暖房機をつけるのもいいでしょう。

転倒防止策もしっかりと。水に濡れても滑らない床にし、入り口には段差をつくらないこと。立ち上がったり座ったりするときに、つかまるための手すりをつけておきましょう。ときどき一番手が届きやすい場所に吸盤式のタオル掛けがついていることがありますが、転倒しそうなときつかまるとかえって危ないため、注意してください。そして万が一転んだときのために、ガラスは使わず、アクリルパネルを使うようにすることです。

三番目はメンテナンス性です。お風呂掃除は家事の中でも重労働ですから、年を取っても掃除の楽なお風呂にする必要があります。大工が壁をつくり左官が下地を貼っていく在来工法の工事なら、より自由自在なプランニングが可能ですが、掃除がしやすいのはユニットバスです。

よくある失敗例は、「うちのお風呂は窓が大きいから、換気扇はいらない」というケースです。窓だけでなく、必ず換気扇をつけて、徹底的に回すこと。まめな掃除は無理でも、できるだけ乾燥させることが、カビなどの汚れを防ぐコツです。

(構成=長山清子)