洗面台の高さ選びも重要です。洗面台を高くすれば腰を曲げずにすむのですが、高い洗面台で顔を洗うと肘から水が伝って床が水浸しになりやすい。肘から水が垂れず、なおかつ腰が楽になる高さの洗面台を、ショールームでよく吟味して選んでください。

照明にも気を使いましょう。洗面所でお化粧をするなら、メークの仕上がりチェックのために、自然光に近い照明器具がいいでしょう。具体的には、蛍光灯と白熱灯を組み合わせるのがおすすめです。

また、これが一番大切なのですが、脱衣室として、冬場の暖かさを確保することです。お風呂で温まったあと寒い洗面所へ出てくると、体が急激な温度変化にさらされ血圧や脈拍に大きな変化をもたらす「ヒートショック現象」が起きて、最悪の場合は死に至ることもあります。

それを防ぐには、洗面所に暖房の設備を取りつけて、浴室との温度差をできるだけ少なくすることです。本当は場所をとらない床暖房を入れることがおすすめですが、トイレと同じく、コンセントを一つ余分につけておくだけでもいいでしょう。

そして水に強い内装(壁、床)を選ぶことです。クッションフロアシート、タイル、コルクなどの中から選ぶといいでしょう。

三番目が家事スペースとしての環境づくりを考えること。洗濯機が置いてあれば洗剤や柔軟剤、さらに買いだめで増えがちなストック分の置き場所まで考える必要があります。

濡れた洗濯物はけっこうな重さになります。洗面所は洗濯物の干し場まで近い位置のほうがいい。それを持って家の中を横切ったり2階に上がらなくてはならないのは、いまは問題がなくても年を取れば苦痛になってくるものです。洗面所から直接裏庭に出られ、そこが洗濯干し場になっていれば、毎日の洗濯が快適になります。

リフォームの際、どうしても洗面所は後回しにされる傾向にあります。しかし洗面所のプランを中心として、浴室やトイレの順番で考えていくようにするとうまくまとまるものなのです。洗面所に入りきらないものがリビングや廊下にあふれ出てきて家の中が散らかることが多いので、洗面所が充実すれば家中がすっきりします。