11月20日に「憲政史上最長」の偉大な宰相となる安倍氏

安倍氏は11月19日、首相在任日数が2886日となり、桂太郎氏と並ぶ。もし20日に衆院解散すれば「憲政史上最長」の偉大な宰相として国民に信を問う形になる。

さらに解散直後に愛知県で行われる20カ国・地域(G20)外相会議やローマ法王の来日などが控えており、得意の外交でポイントを稼ぐ機会がある。おまけに12月15日は大安だ。

安倍氏は2014年にも「年末選挙」を仕掛けているが、この時は11月21日解散、12月14日投票。今回ささやかれた時期とほぼ同じ。そして自公両党を勝利に導いた。だから「いかにも、ありそう」なのだ。

この時期に衆院解散するメリットは何だろうか。そもそも安倍氏は衆院任期よりも、はるか前に衆院解散を打つ傾向にある。最終的には見送ったが、ことし7月の参院選にあわせて衆院を解散して同日選に持ち込むことも検討していたことは本人も認めるところだ。

山本太郎氏が率いる「れいわ新選組」の動きを警戒

野党が選挙準備が整わない間に奇襲選挙になだれ込んだ方が有利だという判断があるのに加え、任期途中に解散することで前回の衆院選での公約が守られたのか、守られたのか検証されにくい状態で選挙を行った方が争点をぼかして戦いやすいという発想もあるのだという。

今、野党は長い低迷を抜けきっていないが、国会では立憲民主党と国民民主党らが統一会派を組むなど、再結集の動きがある。そして安倍氏は、山本太郎氏が率いるれいわ新選組の動きを警戒している。

参院選では2議席確保にとどまったが、街頭演説などでは圧倒的な注目度だった。このまま準備が進めば無視できない勢力になる。その芽を摘むために、年内衆院解散を仕掛けることを考えたようだ。

7月の同日選を安倍氏が見送った主要因の1つは連立のパートナーである公明党が反対したからだ。公明党は「参院選と衆院選は最低でも3カ月間を開けてほしい」と要望。安倍氏も了解したといわれる。年末選挙は、ぎりぎり公明党側の顔を立てることになる。