「台風19号」で解散断念へ 3年前と同じ展開に
しかし、この年内解散説は10月中旬になって急速にしぼんだ。台風19号の被害が広がり、衆院解散で政治空白をつくるわけにいかなくなった。解散を強行すれば、国民の生活よりも党利党略を優先したという非難を受けるのは目に見えている。
安倍氏は、過去にも似たような経験をしている。3年前の2016年、安倍氏は7月の参院選にあわせて衆院を解散する同日選を画策した。しかし、この年4月、熊本県を中心とした大地震が発生。復旧、復興を優先せざるを得なくなり、同日選を断念した。
自民党幹部の1人は「安倍氏が今回、どこまで本気で解散を考えていたのかは分からないが、3年前の前例をみれば、年内解散説はほぼ消えたと考えていいだろう」と語る。
来年1月の通常国会冒頭に、国民に信を問う可能性は残る
結局、今回の解散説は10月初旬に急浮上して中旬に消える「超短命」に終わった。永田町では「次の衆院解散のタイミングは来年夏の東京五輪後、秋以降になる」との見方がもっぱらだ。
しかし、そこは少し待ってほしい。確かに年内解散はほぼ消えた。しかし、年が変われば台風被害への復旧もある程度形がつく。そうなれば、来年の1月、通常国会冒頭に国民に信を問う可能性は十分に残る。
憲政史上最長の在任期間を誇るようになる安倍氏にとって、あとはレガシーとなる功績を残したい。それは言うまでもなく憲法改正だ。その流れをつくるために、来年早々に勝負をかける。安倍氏はそんな選択肢を残しながら2020年を迎えることになる。