ラブホの「高層階の角部屋」は盗聴リスクが高まる
自宅や職場以外に、盗聴を警戒するべき場所はあるのだろうか? そう尋ねると、藤井氏は「ラブホテル」と即答した。
「おそらく、公共の場において盗聴器が最も仕掛けられやすい場所は、ラブホテルでしょう。料金さえ払えば誰でも入れる上に、時間的な制限もない。盗聴器の設置と取り外しが、かなり余裕をもって行える場所です。そのうえ、ラブホテルの中で何が行われているかを考えれば、『盗聴して面白い』場所であることは間違いありませんから、警戒をしたほうがいいでしょう」
怖くてラブホテルに行くのをためらってしまうような話だが、対策はあるのか。
藤井氏は「盗聴犯の気持ちになることが重要」だと語る。
「電波というのは高所からのほうが、よく飛ぶ傾向があります。スカイツリーや東京タワーといった電波塔が、なぜ高いところにあるのか、考えてみてください。さらに、電波は障害物がないほうがよく届く。ラブホテルの性質上、設置自体はどこでもできますから、より電波が飛びやすい部屋を選ぶのがベスト。
そのため、最も盗聴器が仕掛けられやすいのは『高層階の角部屋』だといえるでしょう。また、盗聴犯は基本的に車で移動し、車内で電波を受信するので、通りに面した部屋は警戒しておいて損はありません」
もしラブホテルに入るのであれば、低層階で、なおかつ他の部屋に挟まれた部屋を選ぶのがベストだといえそうだ。
ラブホで盗聴されても訴えることはできない
また、場所選びも重要だと藤井氏は熱弁する。
「たとえば、駅前にあり、路上駐車がしづらいようなラブホテルでは、周囲が建物に囲まれており、車も止めづらい。設置はできても受信が難しいため、盗聴犯は避ける傾向があります。逆に、インターチェンジ付近のラブホテルは場所柄、スペースに余裕があるため、非常に仕事がしやすい環境だといえます」
パートナーのためにも、入室前に落ち着いて部屋を選定するべきだろう。
ところで、もしラブホテルで盗聴されていることに気付いた場合、盗聴犯を訴えることはできるのか。藤井氏は首を横に振る。
「盗聴が違法になるのは、不法侵入をしたときと盗聴した内容を誰かに話したときです。逆に言えば、ラブホテルの部屋を借りてそこに盗聴器をしかけ、内容を自分だけで楽しむのであれば罪にはなりません。もっとも、仕掛けたという証拠をつかむのが難しいので仮に違法性があっても訴えることは困難でしょう」
だからこそ、盗聴される前の“予防”が肝心といえるだろう。