「知財・標準化戦略」、「蓄エネ技術」がカギ

世界に先駆けたオリジナル技術を生かしながら、日本は今後どのように戦っていけばいいか。その問いに対する答えはいくつか考えられるが、あえて筆者の独断で言わせてもらえば、一つは知財戦略、それも世界に通用する技術規格を獲得する国際標準化戦略が大きなカギを握っている。我々の手元にある技術を見つめ直し、それらを巧みにパッケージ化した知財・標準化戦略を駆使して戦えば、日本のモノづくりに勝機を見出すことは十分可能だ。

もう一つは、冒頭のエリーパワーに代表されるエネルギーを蓄える“蓄エネ”技術だ。日本の電池業界を束ねる電池工業会の中谷謙助専務理事は、

「震災の影響で電気系統がこんなに脆いというのがわかった以上、それをどう補うのかといったら、これは電気を貯める蓄電しかない。日本を災害に強い社会にするために、分散電源という考え方が大きな意味を持ってくると思います」

と蓄エネの必要性を強調する。実際、ソフトバンクの孫正義社長が全国に巨大太陽光発電所(メガソーラー)を設置する構想を打ち上げたのをはじめ、創エネ、省エネに加えて蓄エネを助長する動きが一気に加速している。

分散電源への動きは、明らかに日本の産業にとって追い風になる。「ピンチはチャンス」。3.11の余波で様変わりするエネルギー政策の将来を見据えながら日本の技術力を再点検し、国を挙げて産業競争力の巻き返しを図る重大な局面にきている。

(文中敬称略)

※すべて雑誌掲載当時

(撮影=大沢尚芳、永野一晃)
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