北朝鮮御用達の「マネロン&武器調達拠点」

中国から逃亡してきた上海閥(江沢民派)系の富豪たちの隠れ家であり、外国情報機関が跋扈ばっこする「魔界・香港」が持つもう一つの裏の顔、それがマネーロンダリング(資金洗浄、以下マネロン)と武器調達機能である。

香港では長年、中国大陸から違法に流れた巨額資金の「洗浄」が行われてきたが、その多くに上海閥は深く関与している。国際的な政府間会合「マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)」は、香港におけるマネロンやテロ資金の移動といった犯罪の摘発を難しくしているのは、香港から中国本土に対して容疑者を送るシステムがないことだと指摘している(ロイター通信、2019年9月5日 "Extradition from HK to mainland China would help fight money laundering: FATF")が、これは上海閥系富豪らによって大陸から持ち込まれた巨額の怪しい金の動きをも指しているのだろう。

そんな中で、実はあの北朝鮮もまた、香港で長年さまざまな資金洗浄を行ってきた。それどころか、香港こそが北朝鮮の秘密資金運用を支えるマネロンの中心地なのである。2017年10月17日のCNNの報道("Hiding in plain sight: Why Hong Kong is a preferred spot for North Korea's money launderers")によると、香港にある「香港ウナフォルテ社」という企業は、北朝鮮のシェルカンパニー(編集部注:実体のないペーパーカンパニー)であり、北朝鮮政府が国際金融ネットワークにアクセスする際の入り口であるという。同報道によると、香港には160社もの北朝鮮関連の会社が存在しているそうだ。

2019年6月には、米裁判所が中国の大手銀3行に対し、対北朝鮮制裁違反調査に絡む召喚状に従わなかったとして侮辱罪の判決を下したが、これらの銀行は北朝鮮の銀行のために1億ドル以上ものマネロンを行った香港の企業と協働していたようだ(ロイター通信、2019年6月25日 "Chinese bank may face U.S. action in North Korean sanctions probe: Washington Post" )。

「逃亡犯条例改正」の本当の目的とは

香港は、北朝鮮にとって重要な武器輸出入の拠点でもある。2016年、エジプト沖で拿捕だほされた貨物船からは、北朝鮮製対戦車ロケット弾3万発が押収されたが、この船の所有企業は香港所在であった。

のちの米連邦捜査局(FBI)の調査により、オーナーの中国人男性が、北朝鮮への密輸拠点であり、かつ上海閥の支配下にあった中国東北部の丹東の大手貿易会社をも所有していることが明らかになったが、この人物はニューヨークにも高級マンションを保有するなど、米国内にもかなりのネットワークを持っていたようだ(ちなみに、2017年の秋ごろになって急にこの事件の詳細情報が表に出てきたのも、トランプ政権の誕生とは無関係ではないように思われる)。