役人の世界はとにかく理屈の世界だ。理屈を無視し場当たり的な対応をすれば、公平・公正を害してしまうので、理屈を重視する。逆に言えば、理屈さえ通れば、役人はこちらの主張を受け入れてくれる。
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政治家が役人と話す時の心得は、一般の社会人としての態度振る舞いに気をつけながら、あとは、とことん話すということに尽きる。そして、ここでモノをいうのが、「若さのエネルギー」というやつだ。
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大阪府政初の「暫定予算」づくりから僕の政治家人生は始まった
僕は、大阪府知事選挙直後のNHKの番組で、たまたま一緒になった上山信一慶大教授に、助言者になってくれるようにお願いした。上山さんは、旧運輸省で官僚をやった後に、コンサルをやって大学教授になったという経歴の持ち主。そして、大阪はもちろん、その他の自治体の現場でも改革の実務を実践してきた。さらに、あの手この手を講じて、大阪府庁の組織内部において改革をやりたがっている現職の府庁職員にコンタクトをとった。そして、これらのメンバーとの議論の中で「暫定予算」という手法が持ち上がった。
大阪府政ではこれまで一度もやったことのない「暫定予算」。これは、法律上どうしても見直すことのできない予算と人件費についても半年分だけを計上し、あとは予算化しないという予算だ。必要最小限のものだけ予算化して、太田さんが組んだ2008年度予算を徹底的に見直すというもの。大部分の予算がいったん止まるので大騒ぎになるだろうけど、議会が承認すれば、法律上はできる。そこで僕は、この「暫定予算」というカードを頭に入れて、大阪府庁の幹部と議論した。
そうしたら、僕との議論の中で、僕が暫定予算というカードを頭に入れていることを察知したのか、年約5・5兆円(一般会計)ほどの大阪府の予算の役人としての最終権限者・責任者(最終権限者・責任者は知事)である中西正人総務部長が、暫定予算という手法があることを提案してくれた。これは、ほんとありがたかった。
大阪府政の歴史の中で、これまで一度もやったことのない「暫定予算」。それがどんな事態を引き起こすか府庁幹部は詳細までは把握していなかっただろうけど、皆「大変なことになる」ことは想像できた。それでも、「やろう」と腹を括ってくれた。ここが僕の大阪府政、政治家人生の全てのスタートだった。
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