【田原】現地の会社を支援するだけでなく、自分たちでもアクティビティ会社を立ち上げているんですか?

ガイドの雇用が担保される

【三木】現地の支援から始めて、いまは自社で立ち上げた会社と、現地で買収した会社があります。現地のアクティビティ会社はとくに上場を目指していませんが、僕たちが買収することで送迎車が新しくなったり、ガイドの雇用が担保される。僕たちが上場まで行けばお金も入る。現地のオーナーから見ると願ったりかなったりです。

【田原】何社くらい買収したの?

【三木】いまグループは7社あって、うち5社が買収した会社です。ほかにも話をしている案件がいくつかあって、10社くらいで回すことになりそうです。

【田原】いま客数はどれくらい?

【三木】現在は月10万人弱です。仲間入りする会社が増えれば、そこもさらに伸びると思います。

【田原】どんどん会社を増やすと、品質の維持が難しくなるんじゃない?

【三木】いや、買収した会社が50点だとすると、僕たちのグループに入ってそれが60点や80点になっても、40点に下がることはないです。もともとある程度信頼できる会社しか仲間にしないし、そこはクリアできます。

【田原】ちなみにファントリップはいま何点ですか?

【三木】60点かな。旅行者の方に安心して遊んでもらえるレベルにはなりましたが、感動を呼ぶところまでは、もっとやれることがあるかなと。

【田原】三木さんは孫さんに憧れて起業家になった。もっと大きくなれば、ソフトバンクとの協業もありえるかもしれませんね。

【三木】孫さんのビジョンファンドは、ちょうど僕らの競合になる香港と欧州の会社に約500億円出資している。旅行市場には注目されているはずなので、僕らも孫さんに興味を持ってもらえる会社になりたいです。

【田原】孫さんは、もう自分でコンテンツをやる気はないよね? いまは事業家というより投資家だ。

【三木】僕たちはコンテンツをやりつつ、半分はそこを狙っています。旅行業界で現地の困っている人たちをファイナンスでサポートして、バリューアップしていくビジネスモデルですね。H・I・Sの澤田(秀雄)さんが起業したころ、旅行はニッチな産業でした。しかし、いまはみんなが余暇を楽しめるようになって、これからは世界の主要産業になっていきます。そのわりに、投資先としてはまだあまり注目されていないので、やるならいまのうちかなと。

【田原】澤田さんはコンテンツが好きだから、そこにエネルギーを注ぎすぎてしまって、会社が大きくならない。逆に孫さんはコンテンツに興味をなくして会社を大きくした。三木さんはいまのところ中間を狙っているみたいですね。将来どっちにいくのか、注目して見ています。頑張ってください。

三木さんへのメッセージ:世界中の人が使う旅行サービスをつくれ!

(構成=村上 敬 撮影=宇佐美雅浩 撮影協力=アニバーサリークルーズ)
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