1時間で作ったレストラン仲介サービス
Y Combinatorの卒業生であるDoorDashの例を見てみましょう。彼らは、既存のレストランの食事の注文を受けて、宅配する仲介サービスとして始まりました。
この「既存のレストランの商品の配達」というアイデアを実行する場合、普通どう考えるでしょうか。まずは会社を作り、レストランと契約し、配送システムを作り上げてから、配達する人を雇って、と考える人も多いのではないかと思います。しかし彼らが選んだやり方はまったく異なります。
彼らが行ったことは、PaloAltoDelivery.comという独自ドメインを取って、ネット上で見つけたスタンフォード大学周辺のレストランのメニューを集めたサイトを作り、そのメニューと一緒に自分たちの電話番号を書いただけでした。かかった時間は1時間程度だったそうです。
「数時間の開発と数日のテスト」でニーズを把握した
彼らはこのサイトを通じ、本格的に製品作りへ進む前に、どんな人から連絡が来るのか、どれぐらいの量が来るのか検証しようと試みました。そしてサイトのローンチ当日、実際にどこかから検索して、電話でパッタイを注文する人が現れたそうです。
彼ら自身も驚いたとのことですが、とにかくその注文を受け、タイ料理屋に行ってパッタイを注文し、それを顧客の家まで自分たちで運びました。そしてその次の日は2件、次は5件、7件と注文は増えていったそうです。DoorDashはこのようにして、注文仲介にニーズがあることを、わずか数時間の開発期間と数日間のテストで検証できました。
最新の製品が掲載される情報サイト、Product Huntは最初、メールマガジンという形でローンチしました。顧客にまずメールマガジンに登録してもらった後に、創業者らはウェブサイトを作りました。ウェブサイトやシステムを構築するという、それなりに時間がかかる作業に取りかかったのは、顧客のニーズをきちんと理解したあとでした。