どのような指導者がつくかも知らないまま手術を受けます

対して日本の大学病院では、単に「専門医になる経験を記録するための、練習としての手術」になっている。何より、研修医の練習台になることを患者に納得してもらい、契約したうえで手術を行っていません。患者は練習材料になることも、どのような指導者がつくかも知らないまま手術を受けます。これは患者に内緒で練習台として手術を行っておりフェアではありません。

皆さんは「大学病院なら安心」と思い込んでいるかもしれません。たしかに外科や内科であれば、大学病院にも優秀な医師が多いので、悪くないかもしれません。でも眼科外科に関していえば、大学病院での手術は、未熟な医師による練習台になる可能性が高い、と覚悟したほうがいいでしょう。

それでは、どのように優秀な手術医師を見つければいいのでしょうか。これは正面からぶつかるしかありません。その眼科外科医が何千例、何万例の手術件数があるのか、そして手術後の視力はどの程度出せているのかを尋ねるのです。「先生は、この手術のご経験は何件くらいありますか」「手術成功率はどのくらいですか」と診察時に、医師に礼儀正しくかつ丁寧に質問をします。もしも、きちんと答えてくれないなら施設を変えたほうがいいですね。でも医師も人間ですので、質問時の礼節は忘れないでくださいね。

メディアに流れる情報は玉石混交なので、患者も勉強する努力が必要です。しかし、腕のいい眼科外科医にかかれば、ほとんどの人は手術後にほぼ一生「裸眼」で過ごせ、よく見えます。ぜひ、腕のいい眼科外科医を見つけて、死ぬまで「裸眼」で、遠くも近くも見える目を手に入れてください。

深作秀春
深作眼科院長 眼科外科医
航空大学校を経て、滋賀医科大学卒業。米国海軍病院、横浜市立大学附属病院などで研鑽。1988年、深作眼科を開院。これまでに15万件以上の手術を経験。アメリカ白内障屈折矯正手術学会(ASCRS)にて常任理事、ASCRS最高賞を20回受賞。『視力を失わない生き方 日本の眼科医療は間違いだらけ』(光文社新書)、『世界最高医が教える 目がよくなる32の方法』(ダイヤモンド社)など著書多数。
(構成=小澤啓司 撮影=澁谷高晴 写真=iStock.com)
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