1円でも返せば、そのときから借金の時効はゼロ

また、貸した側の「借りたよね?」という確認を借りた側が認めると、その時点で時効は中断。同様に借金の返済も、承認と見なされる。1円でも返せば、そのときから借金の時効はゼロからのスタートになるのだ。

雲隠れしてしまえば承認しなくて済むのではないか、と思うかもしれないが、貸金業者は債権回収のプロだ。滞納者の住民票を追って、居場所を突き止めてくる。貸金業者から時効を成立させることは困難と言っていいだろう。個人間の借金なら、縁遠くなることで、時効成立する可能性はあるかもしれない。

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貸す側の立場で、個人間の借金を踏み倒されないためには、契約書を作ることに尽きる。借金額と返済期日を明記し、本人の署名と印鑑をもらっておく。口頭でも契約は成立するが、後に裁判になった際、それが証明できるかは別の話だ。実印で印鑑証明付きがベストで、なければ三文判でもいい。書面を残すことでプレッシャーを与える効果もある。

そもそも顔見知りからお金を借りるのは、貸金業者からも断られて、進退窮まっている状況が想定される。踏み倒される可能性は高いと考えて、より慎重に事を運ぶべきである。

法人は5年、個人間は10年。「払わない」と意思表示すれば時効成立

柿田徳宏
弁護士

東京大学法学部卒業。けやき総合法律事務所・千葉県弁護士会所属。編著に『事例でわかる消滅時効Q&A』(日本法令)がある。

 
(構成=小林 力 写真=iStock.com)
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