しつこく続く「恨みつらみ」~これが政治の世界の現実だ~

投開票日の4月7日の数日前、大阪維新の会の選挙対策本部長・今井豊は、独特の泉州弁で、維新の会のメンバーに大号令をかけた。

「よっしゃ! 都島(大阪市都島区)の花谷(はなや)を、いてもうたらんかい! 国会議員とその秘書、無投票で当選した府議、それに情勢調査で当確(当選確実)の府議らは、都島に入ったれ!」

いてもうたらんかい! とは、いってまえ! やってまえ! というニュアンスである。それでも大阪以外のみなさんには分かりにくいかもしれない。やっつけてしまえ! という感じか。

この今井の風貌はいかにもの大阪泉州のおっちゃんである。メガネの奥の眼は優しく笑っているが、62歳とは思えない、顔の張りと色艶である。エネルギーが漲っている。100%の泉州弁でとにかく話が面白く人間関係を大切にするが、自分だけ走り過ぎて周囲がついていけないという事態も多々生じる。

(略)

こんな花谷が、今回の府議会議員選挙戦では苦戦している。公明党は全力をあげて花谷を応援しているが、有権者の維新支持のベクトルに勢いがある。今井は、このベクトルを的確に掴み、そして組織的な大号令をかけた。大阪維新の会は、この今井の大号令によって一気に動く。国会議員やその秘書、その他手の空いている維新メンバーや関係者が続々と都島区に入る。そして、全員一丸となった街頭演説を繰り広げる。

花谷は焦りに焦りまくる。

(略)

4月7日の投開票日。花谷落選。

花谷は民意を侮った。自分が活動する府庁舎・府議会、そしてお付き合いしている支援者の間という狭い狭い世界の中で、自分の感覚こそが絶対的に正しいと錯覚してしまった。しかし大阪の有権者は花谷の態度振る舞いにノーを突き付けたのだ。

話し合いがどうしてもつかなければ、相手をこのように選挙で落選させて、物事を進めていく。これが選挙であり、政治である。

(ここまでリード文を除き約2200字、メールマガジン全文は約1万3800字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.147(4月9日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【圧勝・大阪ダブル選(1)】なぜ大阪維新は強いのか? 自民・公明にも勝てる戦略・裏側を全部教えます!》特集です。

(写真=時事通信フォト)
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