見落としがちなのはゴルフ会員権。年会費がかかる例もあるので、「桜ゴルフ」などのサイトで相場を調べてみて、不要だと判断したら忘れないうちに売却します。

預貯金は定期預金のままだと解約に手間取ることになりかねず、ある程度の年齢になったら普通預金に移しておいたほうが無難。取引銀行が多いと相続時の手続きが大変なので、整理すると同時に暗証番号も聞いておきましょう。

親の資産というと相続税を気にする人も多いですが、「資産をどう分けるか」「納税資金が確保できるか」のほうが重要であり、節税はその後です。たしかに相続対策という面では、現金で相続するよりモノ(不動産など)で相続するほうが有利ですが、相続人が均等に分けるのは困難ですし、そもそも納税資金がなければ売るしかありません。相続税のために売るという場合は、買い手に足元を見られて相場より安くなることも考えられます。

多額の相続税がかかるような資産家なら相応の対策が必要ですが、そうでなければ、できる限り現金化しておき、身軽な状態にしておくのがいいでしょう。

深野康彦(ふかの・やすひこ)
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルリサーチ代表。マネー商品全般、資産形成、資産運用に詳しい。著書に『55歳からはじめる 長い人生後半戦のお金の習慣』など。
 
(構成=高橋晴美 写真=iStock.com)
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