クレジット決済とQRコード決済の明確な違い

【田原】起業は2012年。Origamiは何をする会社ですか。

【康井】いわゆる金融です。アメリカや中国では09年ごろからフィンテックが話題になって、新しい金融サービスが現れ始めました。一方、日本では誰もフィンテックなどと言っていない。その状況を見て、未来の新しい銀行をつくろうと考えました。金融はAからBにお金を動かすことを指すので、その新しい仕組みをつくろうと。

【田原】未来の銀行ね。

【康井】ただ、最初から何百億円もあってお金を貸したりできるわけではなかったので、まずはお金が動く仕組みをつくろうということで、Eコマースからスタートさせました。Eコマースは決済のビジネスに比べ、お金をかけずに立ち上げられますから。そして次につくったのが、スマートフォン決済サービスの「Origami Pay」です。始めたのは15年10月でした。

【田原】Eコマースの次が決済。

【康井】Eコマースとスマホ決済はとても似ています。Eコマースはインターネット上で購入ボタンを押して、見えないところから商品が届きます。一方、スマホの決済は店頭で通販と同じような仕組みで決済しますが、商品が目の前にあるから、それを自分で持って帰る。商品が目の前にあるかどうかの違いです。

【田原】同じような仕組みで決済するって、具体的にどう使うんですか?

【康井】加盟店で買い物をしたときに、スマホでお店が出すQRコードをスキャンするか、スマホに表示されたバーコードをお店のレジで読み取ってもらうことで決済が完了します。この決済の仕組みをインターネットで動かしています。

【田原】スマホで決済できると、何がいいんですか。現金やクレジットカードと比べて便利なの?

【康井】まず「Origami Pay」で買ったほうが安くなります。従来のクレジットカードなどの決済スキームは複雑で、何重にも手数料などのコストがかかります。一方、「Origami Pay」はインターネットを使うことでお金の流れを単純化できる。これまでの手数料などの決済コストをお客様に還元できるので、安くできるのです。

【田原】なるほど。メリットは安くなることね。

【康井】決済の速さも利点です。たとえばタクシーでクレジットカードを出すと、決済に数十秒くらいかかる。それがQRコード決済なら約2秒で完了します。

【田原】タクシーでクレジットカードだとサインも必要だしね。

【康井】もう1つ、お客様とお店が繋がりやすいという点も強調しておきたいです。たとえば私がドーナツ屋さんで、田原さんが1つ買ってくれたとします。新しいドーナツのプロモーションで半額キャンペーンをやりたいのですが、田原さんが現金やクレジットカードで支払いをしていたら、キャンペーンを田原さんに知らせる手段がありません。しかし、スマホ決済なら、「来週、田原さんのためだけに50%オフのクーポンを発行したので、ぜひご来店ください」とお送りできる。